糖尿病性腎症における治療薬開発と望まれる薬剤

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第1部. EBMで考える糖尿病性腎症における臨床評価・試験デザイン設定

(2015年9月30日 11:00〜12:30)

 糖尿病性腎症は、糖尿病による特定的な微小血管障害で、慢性腎不全・血液透析の主要な原因であり、制圧すべき糖尿病合併症です。レニン・アンジオテンシン系阻害薬のEBMを中心に、本症の制圧に向けた臨床課題について概説します。  糖尿病合併症の一つである、糖尿病性腎症は慢性腎不全・血液透析の主要な供給源であり、医療経済的側面からも、効果的に制圧することが求められている。 UKPDS, Kumamoto Studyから、糖尿病性微小血管障害は、血糖に依存して発症することが明らかになっています。 I型糖尿病患者に、すい臓移植を行って血糖を正常化すると、進行した糖尿病性腎症が正常化することが知られています。 (寛解・退縮) I型糖尿病を対象にしたRASS研究では、レニン・アンジオテンシン系阻害薬には、有効な糖尿病性腎症抑制効果が認められませんでした。 レニン・アンジオテンシン系阻害薬を糖尿病合併高血圧に用いると、糸球体濾過量を抑制することで、見かけ上の微量アルブミン尿抑制効果を認める可能性があります。 (IRMA2研究、ROADMAP研究) レニン・アンジオテンシン系阻害薬と、利尿薬、カルシウム拮抗薬との併用薬を用いた臨床試験でも、同様な現象が認められています。 (GUARD研究、ACCOMPLISH研究) 慢性腎臓病 (CKD) では、微量アルブミン尿と、糸球体濾過量 (eGFR) とが診断基準に用いられていますが、必ずしも両者は同等の代替マーカーとはいえません。 糖尿病性腎症の抑制、血糖コントロールを超えた臓器保護を臨床試験で明らかにするためには、臨床試験の必要条件として、血糖管理を十分に行い、その条件下での効果を検証するデザインが有効で、仮説提示には、ビッグデータや、大規模登録データを活用する手法も有効と考えられます。

第2部. 糖尿病性腎症における現状の治療と今後望まれる薬剤像

(2015年9月30日 13:15〜14:45)

第3部. 糖尿病性腎症のモデル動物と問題点について考える

(2015年9月30日 15:00〜16:30)

腎臓の解剖学的構造と生理的機能は、ヒトとげっ歯類では大きく異なる。赤血球の大きさが等しいことから、糸球体の大きさや毛細血管径はさほど変わらないため、糸球体の数が大きく異なり、結果として糸球体機能の悪化速度がかなり異なる。すなわち、臨床的に治療期間となる糸球体濾過量が低下し始めてから腎死に至るまでの長い経過が、げっ歯類ではほとんど観察されないのである (糸球体濾過量が低下し始めるとあっという間に腎不全を生じる) 。このように、げっ歯類の糖尿病性腎症モデルを使用する場合には、特徴をよく理解して研究を進める必要がある。今回、各種糖尿病性腎症のモデルマウス・ラットの特徴を述べ、糖尿病の病期を考えた実験の試みについて紹介する。合わせて、最近の日本人糖尿病性腎症の病態変化も考えた、理想のモデルについて話してみたい。

  1. 糖尿病性腎症のモデル動物の紹介と、それぞれの問題点
    1. げっ歯類と人間での腎障害進行過程の違い
    2. 糖尿病性腎症のモデル動物の紹介
    3. 各モデル動物の限界 (良い部分と悪い部分)
    4. 各モデル動物の取り扱いに関する注意事項
  2. 特徴的な糖尿病性腎症の病期背景から考えうる問題点
    1. 特徴的な糖尿病性腎症の病期とは?
    2. モデル動物における特徴的な糖尿病性腎症の病期を考えた実験例
  3. 現在の糖尿病性腎症の病態背景から考えうる問題点
    1. 実際の糖尿病性腎症の病態の推移
    2. 糖尿病・高血圧・脂質異常 (肥満) を合併するモデル動物作成について
    3. 腎性貧血モデル動物について

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