セルロースナノファイバー複合材料の開発と高機能化

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プログラム

第1部 セルロースナノファイバーの特性と用途展望

(2015年9月28日 10:30〜11:45)

 セルロースナノファイバーの応用を考えるには、まずセルロースとは何なのか?さらに、一体どのように生物からつくられ、どのようにファイバーが形成されるのかというところから理解する必要がある。 さもないと、「力ずくでナノ化」し、「力ずくで利用」を考えることになる。石油合成品と何が違い、そのためにどのような基礎コンセプトが応用の発想に必要なのか? 本講座が、やさしいセルロースナノファイバーへの誘いになれば幸いである。  まず、なぜいま生物素材なのか?および、その特性を概説する。次いで、天然繊維の代表であるセルロースに関して、これまで製造が困難であった「ナノファイバーとはどういうものか」 ということを基礎から概説する。次に、トップダウン的加工法として最近開発した、天然セルロース繊維を表面から分子・ナノレベルの分子集合体を引き剥がす、水のみによる微細化およびナノ分散水化法 (水中カウンターコリジョン法) およびその応用例を紹介する。さらに、セルロースナノファイバーを用いる複合材料化について、「ナノファイバーは細ければ細いほど利点があるのか?」の観点から検討する。

  1. はじめに
    1. なぜセルロースナノファイバー (ナノセルロース) なのか?
    2. セルロースの階層構造形成
    3. セルロースの階層構造と機能の相関
  2. ナノセルロースとは
    • 既往の知見の整理
  3. ACC-ナノセルロースの創製
    • 水中カウンタ-コリジョン法 (ACC) の概説を中心にして
      1. ACC処理によるセルロースシングルナノファイバー (ACC-ナノセルロース) の創製
        • 木質由来ACC-ナノセルロース
        • 微生物およびホヤ由来ACC-ナノセルロース
        • 竹由来ACC-ナノセルロース
      2. ACC法が天然セルロース素材に対してどのように優しく作用するのか?
  4. ACC-ナノセルロースの両親媒性発現を用いる応用に向けた検討 (例示)
    1. 表面コーティング剤としてのACC-ナノセルロース
    2. ACC-ナノセルロース 懸濁水により形成されるエマルション
    3. セルロースナノアネモネ (Cellulose nano-anemone) の創製
    4. ACC-ナノセルロースのナノコンポジット化
  5. おわりに
    • ナノファイバーは細ければ細いほど利点があるのか? など、今後の展望や課題について

第2部 セルロースナノファイバー調製技術及びに樹脂との複合化技術動向

(2015年9月28日 12:30〜13:45)

 セルロースナノファイバーの様々な調製技術について、基礎と実用化に向けての動向を紹介する。また、ファイバーをフィラーとする複合材料やナノコンポジットの基礎を学ぶことにより、セルロースナノファイバーを用いる複合材料への理解を深める。加えて、セルロースナノファイバー含有高分子複合材料の代表的な調製方法を紹介し、実用性の高い技術を中心に最近のトピックスを講演者の研究成果を交えて示す。

  1. セルロースナノファイバーの作製技術と特性
    1. 乾式粉砕
    2. 湿式粉砕
    3. イオン液体を用いたゲル化
    4. 化学修飾
  2. 繊維と樹脂の複合化技術 (基礎)
    1. 繊維強化プラスチック
    2. ナノコンポジット化技術
  3. セルロースナノファイバーと樹脂の複合化
    1. 硬化性樹脂との複合化
    2. 熱可塑性樹脂との複合化
    3. 油脂ポリマーとの複合化
  4. セルロースナノファイバーを利用した複合材料の将来展望

第3部 変性セルロースナノファイバーによる熱可塑性樹脂の高強度化・高機能化

(2015年9月28日 14:00〜15:15)

 セルロースナノファイバー (CNF) の製造は、一般に水中で行われます。これを熱可塑性樹脂に複合化するには脱水の必要がありますが、CNFは高い保水力をもつことからゲル化しハンドリングが悪く、その濾水・脱水は困難を極めます。そこで我々は、熱可塑性樹脂強化用セルロース繊維として出発原料に数十μmの直径のパルプを用いました。これを化学変性し、疎水性を付与したパルプはCNFに比べ濾水性が高く、さらに熱可塑性樹脂との溶融混合時のせん断応力により容易にナノ解繊をすることが可能となります。この解繊性に加え、化学変性されたCNFは耐熱性の向上と樹脂との相容性の向上もコントロールすることが可能となります。  本講演では、弊所においてこれまで取り組んだ検討例、そして幾つかの変性CNF強化複合材料の性能、特徴などを紹介します。参加者の方々には、化学変性によるセルロースの解繊性、複合材料の物性変化、CNF/樹脂の相容性の変化などを知っていただく機会としたいと思います。

  1. セルロースナノファイバーについて
    1. 特性・性状
    2. 開発の現状
    3. これまでの取り組み
  2. カチオン変性セルロースナノファイバーによるポリマーの強化
    - CNF/ポリアミド12及びポリアミド11の特性 -
    1. カチオン化処理
    2. 溶融混練押出
    3. 力学的特性
    4. 分散状態
  3. 開発A変性セルロースナノファイバーによる強化
    - CNF/ポリオレフィン,ポリアセタールの特性 -
    1. 力学的特性
    2. 摺動性
    3. 分散状態
  4. 開発B変性セルロースナノファイバーによる強化
    1. 力学的特性
    2. 置換度の影響
    3. 置換度とモルフォロジー

第4部 セルロースナノファイバー強化ゴム材料の開発

(2015年9月28日 15:30〜16:30)

 次世代のバイオマス素材として注目されているセルロースナノファイバー (CNF) とゴムの樹から採取される天然ゴム (NR) との複合化により作製したバイオマス比率の高いCNF強化ゴム材料について、CNFの分散性を向上させるための複合化技術、さらにはCNFとゴムとの界面親和性を向上させるための結合処理剤の添加効果、CNFの表面処理などについて紹介する。また、CNFの形状がゴム材料の物性に及ぼす影響についても紹介する。さらに、CNF強化ゴム材料のゴム製品への応用の可能性について述べる。

  1. はじめに
    1. セルロース材料のダウンサイジングによるマイクロ・ナノ化
    2. ナノセルロースの国内動向
  2. セルロースナノファイバー及び扁平状セルロース微粒子の作製方法とその特徴
    1. セルロースナノファイバーの作製方法と形状
    2. セルロースナノファイバーの特徴
    3. 扁平状セルロース微粒子の作製方法と形状
    4. 扁平状セルロース微粒子の特徴
  3. セルロースナノファイバーのゴム用補強剤としての応用
    1. セルロースナノファイバーとゴムとの複合化
    2. セルロースナノファイバーのポリマーへの複合化における課題
    3. マスターバッチ法によるセルロースナノファイバーとゴムとの複合化
    4. セルロースナノファイバー強化ゴム材料の機械的特性
      1. 界面親和性の影響について
      2. CNF表面処理の影響について
      3. CNFの形状の影響について
    5. セルロースナノファイバー強化ゴム材料の用途展開
    6. 扁平状セルロース微粒子のゴム用機能性充填剤としての応用
  4. まとめ

会場

品川区立総合区民会館 きゅりあん
140-0011 東京都 品川区 東大井5丁目18-1
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