導電性カーボンブラックは、カーボンブラックの中でも導電性付与、帯電防止等の目的で樹脂やゴム、電池材料の添加剤として幅広く用いられているニッチな材料とも言えます。 特に、粉体特性や粉状、粒状、プレス品など必要とする物性を得るための判断基準が解りづらいこともあります。
本講演では、カーボンブラックの製法、特性、物性評価法、並びに、用途例について代表的な導電性カーボンブラックであるアセチレンブラックを主体に解説します。導電性を効果的に発現させるための導電性メカニズムは、カーボンブラックの選定のみならず、配合、混練・混合プロセスと密着した関係にあり 切り離すことができません。特にこれら一貫した材料設計を特にリチウムイオン二次電池材料を重点的に、樹脂・ ゴム用途においても技術的に重要な考え方を解説し、受講者の方に正しい導電性カーボンブラック活用法のヒントを伝授します。
- はじめに
- 各種導電フィラーの位置づけ
- 炭素の多様性
- 導電性カーボンブラックの特性と用途
- 代表的な導電性カーボンブラック
- アセチレンブラック
- ケッチェンブラック
- ファーネス法導電性カーボンブラック
- 製法と基本性状の関係について
- カーボンブラックの製法
- カーボンブラックの合成プロセス
- 3大基本特性 (一次粒径、比表面積、OAN、揮発分)
- 結晶性
- 凝集形態
- 不純物
- 基本性状の評価方法
- 導電性カーボンブラックの特性と用途
- CVケーブル
- 導電性シリコーン
- ICトレー・シート
- タイヤブラダー
- 電池用途におけるカーボン系導電剤の役割/アセチレンブラックを例としてリチウムイオン二次電池
- リチウムイオン二次電池
- 鉛蓄電池
- 電気二重層キャパシター
- 燃料電池等
- カーボンブラックの導電性メカニズム
- 導電性メカニズム
- 導電性、分散性に影響を及ぼす因子
- カーボンブラックの最適活用・配合術
- アセチレンブラックの代表的品種、特殊なアセチレンブラック
- 粉状品・プレス品
- 粒状品
- 高比表面積品
- 低比表面積品
- 改質品 (高結晶化、官能基付与など)
- アセチレンブラックのリチウムイオン二次電池の導電剤の用途別活用例
- リチウムイオン電池の技術トレンド
- 正極における導電剤としてのアセチレンブラックの活用事例
- 負極における導電剤としてのアセチレンブラックの活用事例
- アセチレンブラックの分散技術 (主にリチウムイオン電池の電極プロセスを例にして)
- 分散の定義
- 小粒径アセチレンブラックの活用術 (特性と難分散性の両立)
- 分散の新しい評価技術 (分散の定量評価)
- アセチレンブラックとカーボンナノチューブ (MWCNT) との併用事例
- リチウムイオン二次電池用途
- カーボンナノチューブ (MWCNT) について
- アセチレンブラックとカーボンナノチューブの併用事例 (複合化の試み)
- コンパウンド用途における併用事例
- 次世代アセチレンブラックへの課題と対応
- リチウムイオン二次電池用途の導電剤としての課題
- 電気化学分野におけるアセチレンブラックの展望
- まとめ