ナノテクノロジーの進展につれて、粉体材料の微細化が著しい。これにともない、生産現場ではハンドリングにおける付着性や流動性に関する問題が増加する傾向にある。その問題の解決のためには、粉体物性の適切な評価が必須となる。近年、一次物性として位置付けられる粒度、密度、形状、比表面積、細孔径などは、極めて高精度で高機能な測定装置が開発されている。しかし、これのみでは付着性や流動性に関わる問題解決には繋がりにくく、二次物性の測定および評価が求められる。
本講義では粉体の諸操作におけるトラブルの原因を粉体物性の面から探り、トラブル解決の一手段としての適切な物性評価を行うことを提案する。特に重要なポイントとして付着性・流動性に及ぼす因子を挙げて、それらの実用的な評価方法を基礎から詳細に解説する。
- はじめに
- 粉体とは
- 粉体の定義と特徴
- 粉体の基礎物性
- 粒子径と粒子径分布
- 粒子形状
- 密度
- 比表面積
- 細孔径
- 濡れ性
- 試料のサンプリング
- 粉体の付着性
- 付着性と付着力の関係
- 付着力支配の粉体と重力支配の粉体
- 付着力発現の要因
- 液架橋力
- ファンデルワールス力
- 静電気力
- 付着力の測定と評価
- 一個粒子の付着力
- スプリングバランス法および振り子法
- 遠心法、衝撃法、振動法
- 原子間力顕微鏡 (AMF) による方法
- 圧壊力測定装置を利用する方法
- 粉体層の付着力
- 水平引張り法
- 垂直引張り法
- Rumpf (ルンプ) の式
- 実用的な付着性の評価
- 粉体の流動性
- 荷重下の流動性と非荷重下の流動性
- 流動の様式
- 流動性の測定と評価
- オリフィスからの流出速度
- 安息角
- 粉体層の圧縮
- 圧縮度およびHausner (ハウスナー) 比
- かさべり度 (川北の式)
- 粉体層の流動化
- 市販装置による実用的な評価
- 非荷重下における流動性 (Dr.Carrの方法による評価の例)
- 荷重下における流動性 (せん断力測定装置による評価の例)
- Jenike (ジェニケ) の表現、Farley (ファーレイ) の表現、綱川の表現
- 実用的な流動性の測定と評価
- まとめ
- 質疑応答、名刺交換
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