リチウムイオン電池は携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラなどの携帯機器から、電動アシスト自転車、電動工具さらにはロボットや医療機器まで、現代社会のパワーインフラとして定着した。さらに2015年を転機として、電気自動車EVと同PHVが本格的な増加フェーズに入った。住宅用の据置畜電システムや、電力系統連系の大型リチウムイオン電池も、災害対応や再生可能エネルギーの導入に伴って増加している。
これらのリチウムイオン電池は寿命を終えて、回収やリサイクルのステップに至る。これまでは関係業界内で、特定の有価物の回収を主目的にクローズドシステムの中で実施されてきた。小中型機器の電池は寿命も2,3年で、機器の回収もそれほどの負担はなかった。
今後の数年で大型電池の生産と使用が急増し、比較的長期5~15年の寿命を終えて、回収電池が溢れ出す事態が予想される。法的には国内は「資源有効利用促進法」、グローバルにはEU指令のWEEEや同電池指令が存在するが、それを実際に機能させるには、回収ルール、無害化と物理化学的な処理を組み合わせた、リサイクルシステムの技術の確立が不可欠である。
今回のセミナーは、第一部で本テーマの原理原則的な課題を解説し、第二部では有価物質の回収の実務の実績と問題点を、第三部では国の3R政策や関連する国際動向を扱う。リチウムイオン電池の原材料と電池メーカー、応用機器のメーカーやユーザーのビジネス戦略の一助となることを期待したい。
第1部 リチウムイオン電池の処理技術とプロセス設計
(2015年9月28日 10:30〜12:00)
- リチウムイオン電池の処理技術の概要
- リチウムイオン電池の用途と需要動向
- リチウムイオン電池の正極剤の変化と対応の仕方
- 溶媒抽出法の特徴
- 抽出工程と剥離工程
- どうして分離と濃縮が起こるか?
- どのような装置が使われるか?
- リチウムイオン電池の処理への分離技術の適用
- 電池の前処理、焼成、粉砕、分級など
- ふるい下産物の酸溶解
- 溶解液からのレアメタルの分離
- リチウムの回収法
- 装置設計法
第2部 ユミコア社におけるLIB/Ni-MHリサイクル
(2015年09月28日 12:50〜13:50)
- ユミコアとは?
- UHT炉を用いたリチウムイオン電池・ニッケル水素電池のリサイクルについて
- DVDによるホボケン工場紹介
- xEV用の電池パック・ディスマントリングについて
第3部 リチウムイオン電池の3R政策の現状と動向
~回収・リサイクルと再資源化~
(2015年09月28日 14:00〜16:30) 第3部
- 回収リチウムイオン電池の総量と化学物質
- 電池の総容量と化学原材料などの所要量
- 電池容量MWh当りの素原料 (Co、Ni、Liほか)
- EVなどの生産台数と電池総数MWh、現状と10年モデル
- 電動自動車の生産、販売台数
- リチウムイオン電池の総MWh数、
- EV搭載電池の流れ
- 最近のEVの性能と電池仕様
- 回収・リサイクル電池の発生ステップ
- 製造のステップと産廃の発生ポイント
- 正常なロス、異常なロス
- EVなど大型セルの再利用
- 充放電特性と電池回収へのステップ
- サイクル劣化 (寿命) と放電容量維持率
- サイクル劣化のモデルと寿命推定
- EV実車の寿命実績と予測2014)
- 大型リチウムイオン電池の処理事例
- 放電処理、フッ酸の処理、電解液の処理
- 処理事例 (安全性試験セルの無害化処理)
- 電池 (セル) に含まれる化学物質と国内外の法規制
- 総論原材料>電池 (セル) >回収電池
- 化学物質一覧と国内法の規定およびMSDS、PRTR
- 可燃性電解液と消防法の関連 (類の規定と指定数量)
- 電池の回収とリサイクルに関する法規制とガイドライン
- 資源有効利用促進法 (3R) ほか関係法令
- EU指令 (RoHS、WEEE、電池指令とREACH)
- 回収・廃棄とリサイクルに関する表示 (マーキング)
- 電池応用製品ごとの対応と回収実績 (国内)