結晶シリコン太陽電池の製造工程に特有な、光閉じ込め構造を形成するテクスチャリング工程におけるウェットプロセスを紹介する。 半導体製造と異なり、ウェーハ工程で精密洗浄されていない太陽電池用ウェーハの表面状態が、セル製造工程に及ぼす影響を分類し、さらにそれぞれの状態に合わせたウェットプロセスの導入を我々の実績を基に解説する。 また、太陽電池の性能を決定する因子のひとつである、光閉じ込め構造形成 (テクスチャリング) 技術におけるウェットエッチングを概説する。
近年、結晶型太陽電池用シリコンウェーハの薄肉化している。特に単結晶ウェーハは、コストダウンの観点から加工方法も含め、薄肉化技術競争は顕著化しており、スライス後の洗浄においても、従来のようなアルカリ洗剤と低周波超音波のみの繰り返し洗浄では、洗浄不良とウェーハ割れが問題化している。本稿ではそれらの問題解決手法などを述べる。
太陽電池はクリーンエネルギーとして、今後の益々の普及が期待される。一方で、太陽電池製造における洗浄工程では、多量の化学薬品が使用されており、それらの化学薬品の製造および産業廃棄物処理において環境負荷をもたらす。また、製造コストを高くする要因でもあり、太陽電池の普及の観点から、削減が要請される。 本報では、太陽電池の洗浄工程における水蒸気噴流の可能性および洗浄機構について考察する。水蒸気に水を加えた流体は、気相と液相が混合した状態で、また水蒸気は水に容易に凝縮することから、他の流体ではみられない特性を有する。そのため、衝撃波、せん断力が有効に洗浄に作用する。また、水に変えて薬液を混合すると、化学反応を促進できるため、非常に希薄な水溶液で洗浄を行うことが可能である。