第1部. 摩擦センサーを用いた化粧品の使い心地の評価
(2015年9月29日 10:00〜12:00)
化粧品を開発する上で、クリーム・ローションの塗り心地やパウダーの仕上げやすさなどの使用感・使い心地に優れることは重要だが、これまではこれらの感覚を適切に評価する方法はほとんどなかった。本セミナーでは、ヒト触覚の力学的・神経科学的理解といった触覚の基礎と触覚センサ/ディスプレイなどの応用技術をご紹介した上で、講演者がこれまで取り組んできた化粧品の使用感の評価の事例を紹介します。触覚による水や皮膚などの物質認知のメカニズムから、触感に着目した化粧品や化粧品原料・道具の開発の事例まで、具体的にお話します。
- ヒトの触覚認識メカニズム
- 触覚受容器における情報処理
- 脳における情報処理
- 触の錯覚
- 触覚センサ・触覚ディスプレイ
- 触圧センサ・すべり覚センサ・近接覚センサ
- ゲルフォース・柔軟感センサ
- 摩擦センサーを用いた使い心地の評価
- 皮膚と毛髪の手触り
- 触覚による水認知のメカニズム
- さらさら・べたべた・しっとりの物理的起源
- 化粧道具の使用感
第2部. オノマトペを利用した化粧品の使い心地の評価
(2015年9月29日 12:45〜14:15)
「しっとり」「さらさら」「すべすべ」といったオノマトペは、化粧品の特徴、なりたい肌の質感などを表す際に頻繁に用いられていますが,このような直観的な言葉から所望の製品を提案できるかどうかは,セールス担当者の経験値に基づいて行われています。さらに,同じ化粧品の使い心地の評価が,個人によって異なる,ということも,顧客の感じ方に適した製品の提案を難しくしている要因です。本講座では、オノマトペの特長について理解を深めていただき、オノマトペが表す情報を数値化することにより、質感・感性を微細に把握するための新たな感性評価指標として、効果的に活用できることをお伝えしたいと思います。
- これまでの人の感覚の定量評価手法とオノマトペ
- 従来の感性の定量化手法
- オノマトペとは
- 従来手法に対するオノマトペの強み:
- 微細な質感・感性を捉えられるオノマトペの特長を研究室の実験
- 結果などを紹介しながら解説
- オノマトペはなぜ微細な感覚の違いを表現できるのか
- 音象徴性:言語学分野での従来研究
- 音象徴性:言語音と五感の結びつきに関する言語を超えた普遍性
- オノマトペについて:オノマトペを構成する各音に感性的印象が結びつく音象徴性により、様々な音を数万通り組み合わせることによって多様な感性を表現できる
- オノマトペの音と結びつく快不快
- オノマトペの音に反映される手触りの快不快:研究室の実験結果を紹介しながら解説
- オノマトペの音に反映される味の快不快:研究室の実験結果を紹介しながら解説
- オノマトペの音に反映される快な粘性と不快な粘性
- オノマトペによる感性評価システム
- システム構築手順
- 「しっとり」「さらさら」化粧品評価で使われるオノマトペの出力例
- 感性評価システムによる視覚的質感の差異の比較と理想に近づける方法の可能性
- オノマトペ分布図を利用した触素材感性評価傾向の可視化
- 個人の感じ方に合わせた製品推薦を可能にするシステム
- 品の特長を表す新しいオノマトペを生成するシステム
- システムの構築手順
- スキンケア化粧品に関連する尺度で数値を入力して生成したオノマトペ
第3部. 品質保証と商品開発における官能評価
~化粧品の官能評価実習を通して官能評価表の作成や評価尺度の設定について学ぶ~
(2015年9月29日 14:30〜16:00)
化粧品の品質保証と商品開発において、官能評価は最も重要な指標である。しかしながら、人の感性評価値である官能評価値は、常に個人差の問題を伴う。 実際の化粧品サンプルで、官能評価を実施しながら、官能評価表の作成や評価尺度の設定について具体的に考えていただければと思います。
- はじめに
- 官能評価実習から分かる個人差
- 化粧品の官能評価とは
- 評価法の種類と特徴
- 評価項目と評価尺度
- 統計的手法の用い方
- 商品開発と官能評価
- 品質保証と官能評価
- 検査環境
- マニュアル化
- 実使用モニターの活用と管理
- 専門パネルの育成
- 官能評価の見える化・実験VoCEを実例として