第1部「建築関連における断熱技術の動向と建築系断熱材への要求特性」
(2015年8月25日 10:30~12:00)
断熱技術は寒冷地の技術であり、温暖地では不要と思われてきました。また近年、給湯設備、照明・家電の省エネルギーがクローズアップされてきています。躯体断熱性能の重要度が相対的に低くなっている感がありますし、太陽光発電を載せておけば大丈夫、といった風潮もあります。
しかし、そうした住宅設備の高効率化や創エネルギーで、室内の快適性が向上するわけではありません。躯体の断熱性能を高めてこそ、温熱環境改善やプランニングの自由度向上、延いては健康維持増進につながるということを改めて認識することが大切です。
将来の省エネ義務化に向けて、建築用断熱材の特徴、断熱性能と省エネルギー技術との関係、断熱をめぐる物理現象の理解、断熱・気密化と結露防止、日本における住宅断熱化の歴史等を概観しつつ、さらに今後の断熱技術の動向についても解説します。
- 断熱と省エネルギー性・快適性の向上
- 住宅に断熱は必要なのか?
- 断熱性と快適性の関係
- 断熱とプランニングの自由度
- 断熱とエネルギー消費の関係
- 気密と省エネルギー
- 熱貫流率U値
- 熱損失係数Q値
- 熱損失係数Q値を外皮平均熱貫流率UA値に換算すると
- 断熱要求性能と地域性
- エネルギー消費の計算方法
- 断熱効果の確認方法
- 断熱化の歴史と省エネルギー施策
- 住宅の断熱化の歴史
- 日本最初の断熱基準
- 海外の省エネ基準
- 省エネルギー基準の具体的内容
- 低炭素認定基準
- 断熱のしくみと断熱材
- 断熱材の種類 (改定JIS断熱材の種類)
- 伝熱の三態
- 断熱材の伝熱モデル
- 非定常伝熱と定常伝熱の違い
- 遮熱と断熱
- 開口部の断熱性能の評価方法
- 通気層に断熱効果はあるのか?
- 断熱住宅は夏暑くなるのか?
- 断熱と熱容量
- 住宅と熱容量
- 熱容量と断熱との関係
- RCは外断熱が良いのか?
- PCMとは何か?
- 断熱と結露
- 断熱と木材腐朽
- 内部結露の防止
- ヒートブリッジ
- 防露性能の評価方法
- 窓・サッシと結露
- 換気と結露の関係
- 断熱技術の最新動向
- 最新の高断熱化技術 (真空断熱材、Aero Gelsなど)
- 開口部の断熱性能を決めるファクター
- クロミックガラス
- ダイナミックインシュレーション
- Net Zero Energy Housing
第2部「CO2削減が急務の自動車に求められている断熱技術」
(2015年8月25日 12:45~14:15)
これまでの車両にかかわる断熱に加え、快適性向上のための断熱が必要となってきている。
内燃機関の効率向上、動力の電動化などにより、走行時に使用されるエネルギーが減少する一方で利用できる排熱が減少しており、冷房による燃費への影響比率が増加する一方、これまで注目されてこなかった暖房のために燃料を使用せざるを得ない状況も見られるようになってきている。
- これまでの自動車と断熱技術
- 自動車と住居の冷暖房
- 自動車用冷暖房の課題 (補助暖房)
- 自動車の断熱技術と部材
- 自動車を取り巻く環境と断熱ニーズの高まり
- CO2削減規制と削減技術
- エンジン熱勘定 (エンジン暖機性能向上)
- 車室の冷暖房改善アプローチ
- 電気自動車の開発と熱管理
- 電気自動車技術
- 電気自動車の冷暖房と課題
- 電気自動車等への断熱技術適用
- 自動車の材料転換傾向
- 自動車用材料の歴史と現状
- 材料転換例
第3部「断熱材の基本と応用とその利用」
(2015年8月25日 14:30~16:00)
断熱材内部の伝熱機構を考えるための基礎として、熱伝導、対流伝熱、ふく射伝熱などについての基本をできるだけ簡単な表現と図を加えて解説する。そして、これらの物性値と実際の断熱材との関連性について解説する。
断熱材内部の伝熱機構を基礎的事項の応用として紹介し、これらの基礎事項を断熱材の構造によってどのように考慮し、どんな点に注意する必要があるのか解説を加えるとともに、前半の基礎的知識を活かして断熱材の熱物性値を推定するための計算モデルを視覚的にわかりやすい形で紹介し、熱伝導率の制御についても解説する。
- はじめに
- 基本的伝熱機構
- 伝導の基礎
- 対流の基礎
- ふく射の基礎
- 断熱材の伝熱機構
- 熱伝導率の推算,計算モデル
- ふく射伝熱機構とその影響・制御
- 多層断熱材
- 伝熱機構と計算モデル
- ふく射伝熱機構とその影響・制御
- 熱伝導率の測定・評価法および制御
- 熱伝導率の制御について
- 熱伝導率の測定および評価における注意点
- 他の熱物性値 (熱拡散率,比熱など) との関連性について
- 機能性断熱材に関する考察と提案