本セミナーでは、人間の立体知覚と裸眼立体表示の基礎から解説し、ウィンドシールドディスプレイ上で実世界と仮想世界をシームレスに重畳する複合現実感 (MR:Mixed Reality) と複合現実感技術の生体影響について詳解いたします。
(2015年9月8日 10:30〜12:00)
自動車用ヘッドアップディスプレイであるウィンドシールドディスプレイに超多眼立体表示を用いると、運転支援情報を、風景内の物体と同じ奥行位置にぴったりと重ねて表示することができる。現在利用されている2次元表示を用いた方式では映像情報を物体と同じ奥行位置に表示することはできず、裸眼立体表示として広く用いられている2眼式表示を用いた場合でも頭部の位置によって重ね合わせが変化する。
(2015年9月8日 12:45〜14:15)
複合現実感技術によるウィンドシールドディスプレイの開発と、それを用いた運転者への視覚支援技術について紹介する。
運転者の視覚機能を支援するシテムの実現に向け、車両前方シーンへの情報提示が可能なウィンドシールドディスプレイに注目が集まっている。しかし、情報提示による前方視認性の低下については、十分な議論がなされていない。複合現実型提示可能なウィンドシールドディスプレイ方式の特長を活用した、運転者の視覚支援システムについて紹介する。
(2015年9月8日 14:30〜16:00)
複合現実感技術を実環境で使用する場合、使用環境や機器条件によっては「酔い」や「錯誤」などの生体影響を生じる場合がある。特に、運転環境では揺れや振動などが身体や車体に加わり、人工現実感 (Virtual Reality, VR) では生じにくい複合現実感 (Mixed Reality, MR) 特有の生体影響を生じる可能性もある。複合現実感による豊かな情報提示の可能性を最大限広げるためには、技術発展に伴い顕在化したこのような生体影響への対処が必要不可欠である。本講座では、ヘッドアップディスプレイを用いた運転支援のための複合現実感技術を中心に、振動環境における生体影響の特徴や評価方法や軽減策などについて触れる。動揺病やVR酔いなども踏まえながら、生体影響の少ない複合現実感技術の開発方法について考える。