第1部 無機ナノ粒子-有機ポリマー複合化 による光学材料作製上の課題
(2015年9月4日 11:00〜12:30)
無機ナノ粒子を有機ポリマーに導入・複合化した複合材 (ナノコンポジット) の透明性お よび光学物性を制御する試みにおいて,数値計算による透明化の指針および複合材作製法を概観する。
- はじめに
- ナノコンポジット化の目指すところ
- ナノコンポジットの光学材料への展開
- 光学材料としての課題
- ナノコンポジット中のナノ粒子の光学的挙動
- 粒子による光の散乱
- 光の波長と散乱
- ナノ粒子の大きさと散乱
- ナノ粒子の屈折率と散乱
- ナノ粒子の濃度と散乱
- 光散乱を生じない条件
- ナノコンポジットの屈折率
- 高屈折率材料の場合
- 透明体作製へのアプローチ
- 考慮すべき点
- 各種方法の紹介
第2部 樹脂の屈折率制御のためのかご型シルセスキオキサン (POSS) を基盤とした分子フィラーの設計指針
(2015年9月4日 13:15〜14:45)
シリカの立方体構造を有するPOSSを高分子に導入することで、熱安定性の増強等、 様々な機能を付与できる。今回、樹脂材料の高・低屈折率化のための分子フィラーについて、POSSを用 いた研究について概説する。特に、それぞれ高・低屈折率化において相反し易い他の物性パラメータとの 両立について、フィラーの分子設計指針を説明する。また、置換基により作成法が異なる修飾POSSの 合成についても詳述する。
- POSSの合成および同定法
- 八置換アルキル・アミノPOSSの合成
- 同定法
- 樹脂の剛直性・耐熱性向上のための分子フィラーへの応用
- これまでの研究紹介
- 高分子の耐熱・機械的特性向上
- PS,PMMAの熱的・機械的特性の変化
- DSC,TGA,動的粘弾性による測定
- 応用:高分子の屈折率制御
- 低屈折率化 vs 熱・機械的特性の向上を両立させるPOSSフィラー
- 高屈折率化 vs 高アッベ数のためのPOSSフィラー
第3部 ナノ粒子分散化技術を用いた光学樹脂の高屈折率化
(2015年9月4日 15:00〜16:30)
有機高分子と無機物とでは相溶性が低く、分子レベルで分散することは極めて困難で あった。演者らは、有機高分子にシランカップリング処理を施すことで,混和が飛躍的に改善されることを 見出した。得られた材料は、高分子でもなく無機物でもないユニークな特性を有する。今回は、紫外線遮 蔽能を持ち屈折率の高いチタニアを用いて、樹脂へのナノ分散化とその光学的性質について紹介する。
- 高分子樹脂の光学的性質
- 研究背景として- 高分子樹脂の光学的性質 -
- 材料の高屈折率化を図るためには – 屈折率制御・色収差制御 -
- 有機・無機ハイブリッド材料とは
- ハイブリッドの利点
- ハイブリッドの調製方法 – 総論として -
- ゾル-ゲル法によるハイブリッドの調製
- ゾル-ゲル法の利点
- ゾル-ゲル法による複合化方法
- 有機高分子/チタニアナノハイブリッド材料の創製
- チタニアナノハイブリッドの光学的性質 – 紫外線遮蔽能・屈折率制御 -
- ハイブリッドの微細構造
- 本講のまとめ