本セミナーでは、「細胞シート工学」の基礎、器材開発の経緯、臨床応用への展開について解説し、心不全外科学における再生医学の現状と展望、血管網付与技術を中心に細胞シート工学の最先端を紹介いたします。
(2015年9月3日 10:00〜11:30)
東京女子医大岡野教授が開発した「細胞シート工学」は温度応答性ポリマーを用いて細胞を生きたままシート状に回収できる画期的な技術であり、再生医療の基盤技術として幅広い応用可能性を持っている。株式会社セルシードは「細胞シート工学」の事業化を目指して設立された大学発ベンチャーである。セルシードは大学との共同研究を通じて、温度応答性ポリマーを用いた培養器材の製品化に取り組み、さらにはさまざまな治療法の開発に取り組んでいる。本講義では、「細胞シート工学」の基礎、器材開発の経緯、臨床応用への展開を紹介する。
(2015年9月3日 12:20〜13:50)
筋芽細胞シートの基礎研究から臨床応用までのトランスレーショナルリサーチを概説するとともに、iPS細胞由来心筋細胞シートの開発の現状を報告する。また、筋芽細胞シートのメカニズムからヒントを得た新規薬剤の基礎研究を行っており、同薬剤の薬効を中心に解説するとともに、再生のメカニズムを応用した再生創薬について概説する。
(2015年9月3日 14:00〜15:30)
温度応答性培養皿から温度降下処理のみで回収した細胞シートを単層あるいは積層化して病変部に移植する再生治療が始まっている。より効果的な再生医療の実現には酸素・栄養の供給と老廃物の除去を可能とする血管網付与技術の確立による立体組織・臓器培養技術の確立が必須である。本セミナーでは血管網付与技術を中心に細胞シート工学の最先端を紹介する。
(2015年9月3日 15:40〜17:10)
関節軟骨の修復再生は極めて難しい。変形性膝関節症 (OA) の克服に再生治療が貢献できるのか、確固たるエビデンスはなく、世界の研究進捗を精査していかなければならない。我々は、OAで認められる2種類の軟骨損傷型 (軟骨部分損傷と骨軟骨欠損) に対して、積層化軟骨細胞シートの治療効果を動物実験で確認した。ヒト幹細胞臨床研究として、現在までに11例をエントリーして8例の移植が終了した。従来の軟骨再生治療とは一線を画し、OAの患者にも適応が認められたものである。我々が実施してきた前臨床と臨床研究での各種評価法について概説する。