本セミナーでは、エリスロポエチンの心筋梗塞治療への適応と、免疫抑制剤を内包したナノリポソーム製剤の急性心筋梗塞治療法の開発について解説いたします。
(2015年9月9日 13:00〜14:00)
(2015年9月9日 14:15〜15:45) 急性心筋梗塞の発症数は日本のみならず世界的に増加している。心筋梗塞は急性期死亡率が依然高い疾患であり、また、梗塞後慢性期には心不全へ進展するため、急性心筋梗塞に対する新しい治療法の開発は重要なアンメットニーズである。現在、急性心筋梗塞患者を対象とした治療薬の開発を二つの方法ですすめている。一つは、先進医療Bを用いたエリスロポエチンの適応拡大である。先行する臨床研究において、心筋梗塞急性期におけるエリスロポエチン静脈内単回投与により慢性期心機能が著明に改善することが明らかになった。そこで、2011年12月より、急性心筋梗塞患者に対するエリスロポエチン投与による慢性期心機能改善効果を検討するため、多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験 (EPO-AMI-II 試験) を開始し、中間解析に必要な患者登録を終了した。さらに、院内製造リポソーム製剤を用いた医師主導治験を今秋に開始予定である。これらの研究の成果は、世界初の心筋梗塞患者に対する薬物補充療法の確立、患者QOL改善、医療費軽減につながると期待されている。