第1部 車載カメラ、センサ、通信技術を用いた運転支援から自動運転の現状と将来展望
人と道路とクルマの間の情報のやりとりや、クルマがセンサーなどで外界を認識することで、交通事故や渋滞緩和を支援する高度運転支援やその先の自動運転に注目が集まっています。
すでに多くの技術が実用化されるか、実用化を目指した開発の段階にあります。ここではこれらの概要と今後の動向についてご紹介します。
- 背景
- モビリティの負の遺産の解消
- ITSの運転支援とは?
- 様々な運転支援システム
- 縦方向の支援
- 横方向の支援
- その他の運転支援
- 見えない相手への対応 (V2X)
- 自動運転
- 自動運転の定義
- 自動運転の検討例
- 自動運転に関する国の動き
- 自動運転に必要なセンサー
- 自動運転に関わる課題
- まとめ
第2部 車載カメラモジュールの市場・最新技術動向と自動運転に求められる機能・今後の課題
20年ほど前に、「情報と通信の融合」をコンセプトとして始まった「Telematics」は、Car-NaviやETCとの連携によりITSというインフラ構築により先進的・着実な進歩を進めている日本市場を除き、世界的にみるとコンセプト倒れかに見えた。しかし、既存の「Smartphone」とは全く異なるコンセプトで登場したiPhoneやAndroid Smartphoneなどの「次世代Smartphone」の本格普及にともなうCloud Computing環境の確立により、Smartphoneと連携した「コネクテッドカ―」が現実化しつつある。これは、インターネットなどのインフラの世界的な充実により「次世代Smartphone」が登場した時点の変化に酷似している。つまり、「次世代Telematics」世代に突入したのである。次世代Telematicsでは、車載Entertainment機器は、以前の「スタンドアローン」な状態からインターネットと融合して利便性を高めた「Infortainment」機器へと進化していく。また、欧州のHigh Beam Regulation、北米のKT法の成立により、カメラモジュール機能の搭載により自動車の安全性を高める機運が世界的に高まってきている。そして世界に先駆けて自動車の安全性を追求した日本のASV構想から派生したステレオカメラによる有効性が評価され、ADASの普及が世界的にも急拡大しつつある。このように、カメラモジュールの果たす役割の重要性は以前にも増して高まっているのである。さらに、その精度をより高度化するため、カメラモジュールだけでなくさまざまなセンサの利点を融合することによりADASをより高性能化する「センサー・フュージョン」が急速に本格化しつつある。そして、「ぶつからない車」、「繋がっている車」の行く先には自動運転の実現が見えてきている。
本講座では、このような自動車業界の変化の中、それに最適なカメラモジュールの機能や仕様について詳説する。
- スマホが確立したCloud Computing環境に取り込まれる自動車
- スマホの歴史とCloud Computing環境の確立
- スマホから自動車に移行しつつあるOSの覇権争い
- Cloud Computing環境確立により、新たな世代に突入した「Telematics」
- Cloud Computing環境への適合、次世代Telematicsに適合した「Infortainment」車載機器
- 車載カメラモジュールの動向
- ASV (先進安全自動車) 構想実現のため提案された多くのカメラモジュール
- 各国の安全自動車に向けた法制化進展により高まる車載カメラの世界的本格搭載
- 世界的で急拡大するADAS (先進運転者支援システム) 用カメラ機能
- ITS、プローブデータなどのBig Data取り込みに重要な役割を果たすカメラ機能
- 「ぶつからない車」、「いつも“繋がっている車”」の実現により現実味が高まっている自動運転車
- 自動車用カメラモジュールに必要な性能
- 暗視感度を向上させる自動車用高感度Image Sensor
- 明暗差の大きな環境に対応したHDR (High Dynamic Range) 機能
- リフローカメラモジュール採用による低コスト化の実現
- IoT環境で「汎用カメラモジュール」となるリフローカメラモジュール
- まとめ
第3部 車両の自動運転をめぐる国内外法的課題
日本・米国・欧州各国の企業を中心に車両の自動運転技術の開発が進んでいるが、法整備の面では、人による運転を想定した現行法との整合性や事故時の責任の所在等、課題は多い。
本講演では、各国政府等の政策に触れつつ、自動運転の法的課題について解説する。
- 自動運転・自動走行システムとは
- 公道での車両の走行についての法規制
(ア) 道路交通法
(イ) 道路運送車両法
(ウ) 新しいタイプの車両につき道路交通法等の規制が問題となったケース
(エ) 公道での自動運転についての国際的な規制 (日本)
(オ) 自動運転の制度面での課題
- 自動運転に関する法規制:米国
- 自動運転に関する法規制:欧州
- 自動運転車両による事故の責任 (日本の場合)
(ア) 原則論
(イ) 被害者保護のための例外:その1【自動車損害賠償保障法】
(ウ) 被害者保護のための例外:その2【製造物責任法】
(エ) 自動化レベルに応じた検討
(オ) メーカー側の責任を制限する主張として考えられるもの
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