1. セルロースナノファイバーの調整・分散と応用展開
(10:30〜12:00)
経済産業省の肝煎りでオールジャパン体制のナノセルロースフォーラムも立ち上がり、国内におけるセルロースナノファイバー研究がより一層の加速を見せている。演者らは、TEMPO触媒酸化と呼ばれる化学反応を用いて、直径約3ナノメートルのセルロースナノファイバーを単離分散させることに世界で初めて成功している。本講演では、TEMPO酸化反応によるセルロースナノファイバーの調製、構造、単繊維物性等の基礎的知見を中心に、各種応用展開や他素材との比較等の要点を紹介していく。
- 天然セルロースの構造と潜在特性、TEMPO触媒酸化の適用
- 天然セルロースの特徴、他素材との比較
- セルロースミクロフィブリルの潜在特性
- TEMPO触媒酸化とは
- TEMPO酸化反応による天然セルロースの改質、反応条件と改質物の構造
- ナノセルロースへの展開
- TEMPO酸化セルロースナノファイバーの調製とナノ分散メカニズム
- ナノファイバーの構造制御、分散性・表面電荷・長さ・分子量等
- 各種セルロースナノファイバーとの比較
- ナノセルロースの基礎物性と課題
- セルロースナノファイバー1本の強度解析
- セルロースナノファイバーの集積制御
- ナノファイバー分散液の液晶性、自己組織化
- ゲル: 超高弾性率、特異的イオン吸着
- 多孔材: 高断熱性、光透過性、強靭
- フィルム: 透明、高強度、ガスバリア性
- ナノセルロースの複合化
- 粘土鉱物との複合化、鋼鉄並みに強くフレキシブルな透明フィルム
- プラスチックとの複合化、ナノファイバーの補強ポテンシャル
- その他機能性ナノ粒子との複合化* 質疑応答
2. セルロースナノファイバーの発泡プラスチックへの複合化
(12:50〜14:20)
セルロースナノファイバー (CNF) は資源が豊富であることに加えて軽量で優れた機械的・熱的特性を有するため,近年プラスチックの強化繊維をはじめとして注目されている。 本講演では、各種熱可塑性樹脂をCNFにより強化した複合材料を主に超臨界二酸化炭素を用いたバッチ式発泡法により発泡成形させた場合の発泡特性,及び得られた発泡体の物理的特性について評価した内容について紹介する。
- CNFについて
- 性質と製法,用途
- 研究・開発動向
- CNF強化プラスチックについて
- 開発の経緯
- CNF強化プラスチックの製法,特性
- CNF強化ポリプロピレンの発泡成形
- ポリプロピレンの発泡成形においてCNF強化が気泡径に与える影響
- CNF強化ポリプロピレン発泡体の機械的,熱的特性
- 変性CNF強化ポリエチレンの発泡成形
- 変性CNF強化ポリエチレンの発泡成形特性
- 変性CNF強化ポリエチレン発泡体の結晶構造
- 変性CNF強化ポリエチレン発泡体の機械的特性
- 超臨界流体を用いた発泡成形 (Mucell) による発泡成形
- 変性リグノCNF強化ポリアミド,ポリアセタールの発泡成形
- 変性リグノCNF強化ポリアミド発泡体の特性
- 変性リグノCNF強化ポリアセタール発泡体の特性
3. CNFと樹脂の複合化技術とガラス代替としての可能性
(14:30〜16:00)
セルロースナノファイバーを精緻に複合化させることで、透明性が高く、同時に機械的特性や熱的特性に優れたコンポジット材料を作製する手法を述べる。この技術の元になるセルロースナノファイバーの製造技術や基礎的な樹脂複合化技術を示すとともに、セルロースナノファイバーと樹脂の複合化技術の最先端研究を紹介する。
- セルロースナノファイバーの作製技術と特性
- 乾式粉砕
- 湿式粉砕
- イオン液体を用いたゲル化
- 化学修飾
- 繊維と樹脂の複合化技術 (基礎)
- 繊維強化プラスチック
- ナノコンポジット化技術
- セルロースナノファイバーと樹脂の複合化
- 硬化性樹脂との複合化
- 熱可塑性樹脂との複合化
- 油脂ポリマーとの複合化
- セルロースナノファイバーを利用した複合材料の将来展望