第1部『企業化のための経済性検討』
(2015年7月22日 10:30〜12:30)
経済計算は製造研究では最も大切な作業である。企業化は膨大な研究費の回収作業である。儲けなくてはいけない。それには製品価格を決めねばならない。製品価格は原料費と生産性の2つで成り立つ。原料費は収率と原料価格から出るので簡単に理解できるだろう。生産性とは時間の価格であり、一定時間でどれだけの量の製品を製造するかである。後者はなかなか難しいが学校の化学ですっぽりと抜けている部分である。経済性などは関係ないという先生もいるが、収率の設定もできない。技術のレベルを示しているのが価格である。トラブル、事故もコスト的には大きい。福島を見るとわかるであろう、100億円程度もかけて冷却ラインの予備を用意しておくとあの事故は起きなく何兆円という費用かからなかった。政策上のミスである。トラブルのコストは高いのである。スケールアップトラブルは許されない。
- コストの構成
- 原材料費と時間の価格 (コスト計算は委託製造会社では新入社員でもできる)
- プラントコスト なるべく簡単なプラントを設備投資が安くなる (難しい)
- トラブルコストの自覚
- トラブルコスト (起こしてはいけない)
- パイロットを失敗すると約1億円
- 時間ロスがあり登録が1,2年遅れる。競合剤があるとどれだけのロスになるか分からない。
(1人あたり2000万/年で企業化は100人以上かかる)
- 福島はひどい。安全は当事者の責任という法律であった、電気会社が金で規制を自民党から買った。
化学ではたくさんの規制がある。
- 技術レベル (良い技術とは安いことである)
- 価格から求める収率が決まる。ブレークスルーが必要な場合もある
- 原料価格をやすくしないといけないときもある
- 価格は製造ルートで決まる、製造研究はその最適化を行う (良いフローシートを作成)
- スケールアップトラブルの原因
- 同じ事をすれば同じになる
- 違うことをしているからトラブル。パイロット実験とラボ実験やっていることが違う。
- 学校の実験が原因の場合が多い、いい加減なのである。
- その防止は比較的容易
- 製造研究のやり方 (価格にも大事なので話をする)
- 事故防止は絶対 安全の知識、測定機器の扱い方
- 実験法は恒温滴下反応
- 10ccで検討。大きな実験はたくさんできないし不正確。 (大きな勘違いがある)
- 正確な実験、できるだけ簡単な実験。 (学校の実験はこの点が問題)
- 個体扱い。今回は述べないが個体扱いはトラブルが多くなる (できない晶析はない)
第2部『化学プロセスにおける研究開発時のコスト試算、事業性判断と意思決定~研究開発担当者が知っておくべき必須知識』
(2015年7月22日 13:10〜16:40)
まず、プロジェクトで業務を考える重要性を概説し、実用化への第一歩であるスケールアップ研究の難しさに触れる。その後、コスト試算について概説し、事業採算性検討の計算方法、事業採算性検討の結果から投資意思決定プロセスについて述べる。
- プロジェクトで業務を考える
- プロジェクトとオペレーションの違い
- プロジェクトとは
- プロジェクトマネジメントとは
- プロジェクトのコスト見積りと予算
- 実用化への第一歩スケールアップ
- 化学者の視点 (プロダクト) と化学工学者の視点 (プロセス)
- スケールアップの難しさ
- 連続プロセスとバッチプロセスのスケールアップ
- 実験室と実設備の違い
- コストは1つではない
- コスト構成
- 色々なコストの考え方
- 原価計算の目的
- 開発ステージにマッチしたコスト試算
- 研究段階における超概略コスト試算
- 開発試作段階におけるコスト試算
- 物質収支と変動費の推算
- 設備投資額の概算
- 多品種の場合のコスト試算
- 事業採算性検討と投資意思決定
- 事業採算性検討に必要な値
- ディスカウント・キャッシュ・フロー法による計算
- リスク把握と感度分析
- 投資判断