第1部. 妥当な経済価値算出のポイントとその判断基準
(2015年7月10日 11:00〜12:30)
医薬ライセンスでは、他の産業におけるライセンスと異なり、市販までに長期間を要する開発化合物を扱うために大きなリスクを伴うと同時に、ライセンス化合物の評価を難しくしています。 とりわけ、未確定要素が多いために現実的にはライセンス化合物の普遍的な価値を行うことは不可能にさえ思われ、最終的には経営トップの政治的な判断が求められる場合も多いように 思います。しかし、医薬ライセンス交渉において双方の化合物評価に大きな違いがないことが多いように思います。そこで、ここでは未確定要素を許容しながらライセンス化合物の経済価値 を算出する方法とライセンス交渉の進め方について議論したいと思います。
- 医薬ライセンス化合物の評価を難しくしている要因
- 治験ガイドラインと開発期間の長さ
- 予測が難しいファクター
- 国の政策に依存する薬価と薬価改定
- 一般的な化合物評価法
- ポートフォリオ分析
- 公開資料による評価
- 秘密資料による評価
- Target Product Profile
- 一般的な現在価値評価法とリスクの折り込み方
- 現在価値評価法
- リスク調整
- “楽観的評価”と“悲観的評価”の考え方
- フォールバックポジション
- 経済価値の評価が異なる場合のライセンス交渉
- テリトリーの事情の違い
- 製品構成とライセンス戦略
- リスクシェアとプロフィットシェア
- 交渉決裂例とその考察
- 最終的な“Go”、“No Go”の判断の仕方
- ライセンス化合物による収益性
- 開発戦略
- 収益性に関する大局的な考え方
- リアルオプション理論 – など
第2部. 海外企業へ対する戦略的な交渉術と契約条項の作成・締結のコツ
(2015年7月10日 13:15〜14:15)
海外製薬企業は国内製薬企業に比べて長いライセンシング経験を持っており、国内製薬企業はこれを学んできた経緯があります。そのために、国内製薬企業が海外の製薬企業とのライセンス交渉で不利な立場に立たされたことがあったと思いますが、それも過去のことになりつつあるのではないでしょうか。 実際、ライセンス化合物の経済価値を自ら算出することやライセンス実務に不慣れであったことが原因であった場合が多いように思います。 ここでは過去の失敗例を紹介しながらその対策について考察するとともに、案外、有利な条件で契約できる場合もあることを紹介したいと思います。
- 製薬業における海外と国内の違い
- 承認認可制度構築の歴史
- バイオベンチャー企業の育成と活用
- 医薬ライセンシングの歴史
- 国内製薬企業にとって不利な契約例とその考察
- 交換化合物で不利益を受けた例
- 海外進出で不利益を受けた例
- GCPサンプルの製造委託において不利益を受けた例
- 企業買収において不利益を受けた例
- 不利益な契約にならない契約書の作成
- ミラーワイズな契約文書の作成
- 契約後も是正できる不公正な契約内容
- 自主的な化合物評価に基づく経済条件の協議
- 信頼できる相手先の選考と信頼関係の構築
- 信頼できる、あるいは、できない相手先は本当にあるのか
- テリトリー固有な事情の理解
- 研究開発戦略の共有による信頼関係構築
- 海外企業の誠実さと公正さ
- 自前だが妥当な化合物評価
- ライセンス交渉における適切な準備と誠実さ
第3部. 事例から学ぶ、ライセンス取得の実際と信頼性構築のポイント
(2015年7月10日 14:30〜16:00)
演者の過去の経験からライセンスを進めるにあって考えるべき点についてお示しします。また、オーファン薬での考えるべき点についても、皆さんと議論させていただきたい。
- 今一度考えてみようライセンス
- なぜ、導出するのか
- なぜ、導入するのか
- なぜ、M&Aをするのか
- ライセンスで必要なこと
- 最近のDeal
- 対価をどのように考えるのか
- NPVは万能か?
- 対価とは
- 海外企業との付き合いを如何して行くのか、求められるスキルとは
- 人として
- 国・人・環境
- 交渉術への心構え
- 閑話休題 (オーファン薬って別世界!)
- オーファン薬とは
- オーファン薬のディールの特殊性
- でも、オーファン薬は大切
- これから必要なこと
- 会社として考えること
- 組織として考えること
- Dealとして考えること
- 全ては、諸刃の剣ですよ