車載、監視、IoTへ向けたイメージセンサのトレンド技術
~低ノイズ、高感度技術、低照度対応~
(2015年6月19日 10:30〜12:00)
イメージセンサでは、多画素化、高感度化、低照度環境への対応、低ノイズ化、多機能化など多くの技術が開発されています。これらは、カメラとして基本的な性能向上を目指して進められてきたものがほとんどです。しかし、「イメージセンサの高度な技術」が単独で存在することはなく、製品からの要望に応じて対処してきたものなのです。従来は、DSCが対応製品の主流だったかもしれませんが、その後スマホへのカメラの搭載が急拡大し、さらにはCloud Computing環境の本格化が進む中、スマホ、車載、監視カメラ・・最終的には全てのものにカメラ機能が搭載される社会に急変しています。このような情勢変化の中、イメージセンサの高度な技術が「なぜ」必要とされるのか、アプリケーションの動向と絡めて解説します。
- イメージセンサ・カメラモジュールの市場動向
- イメージセンサ・カメラモジュールが使用されるさまざまなアプリケーション
- カメラモジュール市場規模推移
- アプリケーション別カメラモジュール伸長率の推移
- スマホ市場の変化に対応したイメージセンサ技術
- 薄型化が急伸するスマホに対応したカメラモジュールの多画素・超低背化技術
- 微細Cellでも高感度を実現するBSI技術
- 高CRAに対応したイメージセンサの素子分離技術/Digital μ-Lens技術
- スマホのDSC化を進める位相差検出Cell搭載センサ/電子式手ブレ補正機能の搭載率増加
- ADASが本格化する車載カメラに対応したイメージセンサ技術
- 高速化に対応したGlobal Shutter搭載CMOSイメージセンサ
- 明度差の大きい車載・監視カメラに向けたHDR,DRC記述搭載イメージセンサ
- 昼夜兼用RGB+IRイメージセンサ
- 車載用超高感度イメージセンサ
- Cloud Computing環境本格化により具現化が進むIoT
- 低価格・汎用可能なリフローカメラモジュール向けイメージセンサ
- RGB+ IRイメージセンサによるIRCFの削除技術
- まとめ
- 全てのものがインターネットにつながるIoT環境のイメージ
- Trillion Sensor社会に向けたLens-less カメラモジュールの事例
- Wrap Up
CMOSイメージセンサのマルチアパーチャ化による極低照度環境のカラー撮影
(2015年6月19日 12:45〜14:15)
画素の微細化にともない,Random Telegraph Signalノイズと呼ばれる,非常に大きなノイズが画素で生じることが問題になっています.また,極低照度環境では,センサのわずかなノイズが強調されるため,通常の撮影では問題にならないようなものまで,はっきりと見えるようになり,画質を劣化させます.マルチアパーチャカメラと呼ばれる,レンズアレイを用いたカメラは,主に三次元撮影に利用されていましたが,極低照度環境における高感度低ノイズ撮影においても大きな効果があります.本講座では,低ノイズマルチアパーチャカメラにおけるノイズ低減の原理と,試作システムによる実験結果から有効性を示します.従来の単眼カメラでは達成し得ない高感度撮影を実現し,人の目ではほとんど見えないような極低照度環境での無照明撮影を可能とする技術と考えています.
- マルチアパーチャカメラ
原理,応用
- CMOSイメージセンサのノイズ源
- CMOSイメージセンサにおける回路によるノイズ低減技術
フォールディングADC
- マルチアパーチャカメラによるノイズ低減
選択的平均法
- シミュレーションモデルとシミュレーションによるノイズ低減効果の検討
センサノイズとフォトンショットノイズ
- 白黒センサを用いたセンサ分割型マルチアパーチャカメラプロトタイプ
- 実験によるノイズ低減と信号増加の確認
ノイズヒストグラムと動画におけるノイズ低減効果
- 低ノイズカラーCMOSイメージセンサを用いた高感度マルチアパーチャカメラプロトタイプ
- 複数カメラからの画像合成
- シミュレーションによるノイズ低減効果の検討
ノイズヒストグラムと色空間における分散
- 今後の展開
マイクロ分光素子を用いたイメージセンサの高感度化技術
(2015年6月19日 14:30〜15:30)
従来のイメージセンサはカラーフィルタにより分光を行うため、入射光の多くが吸収により失われていた。この問題を光の波の性質 (導波、及び回折) を使った新しいマイクロ分光素子により解決した。この素子は高屈折率透明体からなる波長サイズの板状構造で、近接場の領域で光を損失なく原色と補色に分離できる。これを画素サイズ1.43μmのCCDイメージセンサに適用し、解像度を維持したまま約2倍の高感度なカラー撮像に成功した。
- 開発の背景
- マイクロ分光素子の原理
- マイクロ分光素子の種類 (対称型と非対称型)
- 導波理論から見た分光原理の解釈
- 形状と回折角の関係
- センサへの応用 (2ディフレクタ配置)
- 分光原理の実験確認
- 実センサを用いた検証
- 1.43μm_CCDでの設計、試作
- 電気信号評価
- 角度依存性
- 色出画、解像度
- 偏光依存
- 課題