流動場結晶化における 高分子の構造形成メカニズム
(2015年5月20日 10:30〜11:50)
成形加工で重要となる流動場結晶化では、静置下とは異なり、シシケバブ構造やコアスキン構造など多様なモルフォロジーが出現する。本講演では、高分子鎖の絡み合いや分子鎖の形態に着目しながら、静置下および流動下における結晶化メカニズムと制御について、理論的背景や先行研究を紹介しながら、講演者の最近の研究成果をわかりやすく解説する。
- 高分子の結晶化の基本原理
- 高分子のトポロジー性-鎖長・絡み合い・特異点の役割-
- 静置下における核生成・成長の分子論的メカニズム
- 結晶化における絡み合いと滑り拡散の役割
- 高分子の成形加工
- 流動場の役割-流動による鎖の形態変化-
- 鎖長と絡み合いの影響
- 流動誘起結晶化で見られる特異なモルフォロジー
- 融掖中の分子鎖形態と生成するモルフォロジーの関係
- ポリエチレンやポリプロピレンなどの直鎖状ポリオレフィンの流動場結晶化
- シシケバブ構造とは?
- シシケバブ構造形成メカニズム
- 大環状ポリエチレンの流動誘起結晶化
- 結び目絡み合いがシシケバブ構造形成に与える影響
- ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル類の流動誘起結晶化
- エステル交換反応による絡み合い解消
- シシケバブ構造およびrow nucleation構造形成メカニズム
- 流動誘起結晶化-構造と物性の関係
- 流動誘起結晶化が融点や力学的強度に与える影響
成形プロセス中の高分子の配向結晶化機構と高次構造制御
(2015年5月20日 12:30〜13:50)
- 成形プロセス中の結晶化の基礎
- 冷却過程での結晶化
- 準静的扱い
- アブラミの式の非等温への拡張
- 結晶化潜熱の発生速度と冷却速度
- 準静的扱いの限界、核形成・成長
- 流動場での結晶化
- 応力-光学則、結晶化速度の配向度依存性/流動の記憶効果
- シシーケバブ構造形成
- 成形プロセス中の結晶化の解析事例
- オンライン計測手法
- ・温度計測 ・応力計測 ・速度計測
- 溶融紡糸過程の解析
- 温度測定による配向結晶化速度解析
- 複屈折計測による結晶化挙動の推定
- 広角X線回折測定による結晶化挙動解析
- フィルム成形過程
- 一軸伸長過程/二軸伸長過程の結晶化/面配向
- 溶融成形過程の移動現象論と高次構造形成
- 高次構造形成を伴う系のモデル化、熱収支、構成則への影響
流動場における高分子結晶化と構造解析
(2015年5月20日 14:00〜15:20)
- 高分子の結晶化と造核剤の作用機構
- 高分子の結晶構造と結晶化プロセス
- 結晶化に影響を及ぼす因子
- 組織構造と特性改善の関係
- 優れた造核剤の条件
- ポリプロピレン (PP) の結晶化と造核剤
- PPの結晶化と結晶構造
- PP用造核剤の種類
- 各種造核剤の性能比較
- 造核剤による制御と改善
- 新規造核剤の開発動向
- 造核剤の使用方法
- 各種高分子用造核剤
- ポリエチレンテレフタレート (PET) 用造核剤の種類
- PETの性能改善事例
- その他の高分子造核剤
流動場における高分子結晶化と構造解析
(2015年5月20日 15:30〜16:50)
高分子を成形,加工する際には「流動」や温度変化などを伴い,結晶化して材料を 作成する.本発表では,高分子の成形加工前後,および成形加工中の結晶化挙動に ついて,詳述すること高分子の流動場を利用した高機能化について述べる.
- 高分子構造解析の基礎
- 高分子とは
- 構造解析手法概論
- 顕微鏡法
- 顕微鏡の仕組み
- 光学顕微鏡
- 電子顕微鏡,AFM
- 散乱の手法
- 散乱の基礎
- X線散乱
- 大型施設の利用
- 自分で組み立てる光散乱装置
- 分光法・熱的・力学的手法
- 高分子の結晶化について
- 高分子の結晶とは何だろうか?
- そもそも高分子の結晶化では何が起こっているか?
- 結晶成長プロセス (結晶核生成,ラメラの成長)
- ラメラ成長プロセス
- 核形成について
- 流動が及ぼす影響についての議論
- 静置場と流動場の相違
- 流動場での結晶化プロセス
- 高分子鎖の変形
- 流動場での結晶化の実例
- その他延伸プロセスでの結晶化
- 材料の高性能化および劣化についての議論