第1部 自動車におけるCFRP利用の現状と展望
(2015年5月28日 10:30〜11:50)
地球環境対策などの観点からも自動車の軽量化は重要。そうした中、自動車においても軽量高強度材料である炭素繊維強化樹脂 (CFRP) が注目されている。本講では、その自動車CFRP化の現状と展望を、いろいろな角度から議論してみたい。
- CFRPとは
- CF (炭素繊維) の特徴
- P (樹脂) の特徴
- CFRP (炭素繊維強化樹脂) の特徴
- 自動車へのCFRPの適用の現状、研究開発の動向と展望
- CFRPの現状開発例 (自動車以外)
- 自動車用CFRP開発例
- 使用量 (構成材料比較)
- 用途と特徴
- トヨタの開発例
- 欧州の最近の開発例
- 採用目的とその変化
- 自動車とCFRP、今後の課題、将来展望
- ポピュラー化の必要性
- 技術開発
- 現状技術の定着、継続、改良
- 更なる量産化技術開発への挑戦
- (ライフサイクルアセスメント) 改善技術
ⅰ.熱可塑CFRP
ⅱ.リサイクル
ⅲ.バイオFRP (BFRP)
Ⅳ.ムリ無駄むらのない設計、工法
- 産官学 (民) の連携
第2部 RTM工法を中心としたCFRP成形技術動向と今後の展開
(2015年5月28日 11:50〜12:50)
代表的なCFRP成形法としてAC (オートクレーブ) があるが、これとは別に自動車の量産性を考慮した成形法が開発されている。大別してプレス方式とキャスティング方式があるが、ここでは、キャスティング方式の代表格であるRTM (Resin Transfer Molding) の技術動向や搭載例、また今後の見通し等について議論したい。
- 自動車用CFRP成形法の歴史
- AC成形と課題
- 脱AC成形への挑戦
- プレス方式 (SMC) の研究
- キャスティング方式 (RTM) の研究
- 自動車用CFRP成形法の現状とRTM
- 最近の自動車に搭載されたCFRP成形法
- レクサスLFA (C-SMC,RTM)
- BMW i3 (HP-RTM)
- 外板 (PCM,HP-RTM)
- RTMの変化
- 成形サイクル
- シミュレーション技術
- 今後のRTM
- RTMの特徴とニーズ
- RTMの改良
- 更なる成形サイクル短縮
- 大型成形
- マルチマテリアル
- 高靱性化
第3部 CFRP部材の量産を可能にするPCM (Prepreg Compression Molding) 、CF-SMCの特長と適用例
(2015年5月28日 13:40〜14:50)
近年、自動車部材のような、より生産量の多い大型の産業用途部材に炭素繊維複合材料 (CFRP) を適用するニーズが出てきているが、従来のCFRPの成形プロセス、それに用いる中間基材では、目的とするレベルの量産性が得られない。
昨今、開発が進められているRTM (Resin Tranfer Molding) 法も有用なプロセスであるが、プリプレグのプレス成形をベースに開発されたPCM (Prepreg Compression Molding) 、またさらに成形性に優れるCF-SMCはRTMとは異なる有用性があり、今後、広く普及していく可能性がある。今回はこれらの技術について紹介する。
- 炭素繊維市場
- 炭素繊維市場の近年の動向と今後の展開
- PAN系炭素繊維とCFとピッチ系炭素繊維の特長
- 自動車CFRP量産プロセスの開発状況
- 各種CFRP成形プロセスの特長
- 自動車用CFRP部材への適用性
- PCM (Prepreg Compression Molding)
- PCMの特長
- PCMプロセス概要
- PCM用中間基材;プレス成形用速硬化プリプレグ
- プリフォームプロセス
- プレス成形プロセス
- 粒子コアPCMによる中空構造の成形
- 部材への適用例
- CF-SMC (Sheet Molding Compound)
- CF-SMCの特長
- CF-SMC成形プロセス概要
- PCM / SMCのハイブリッド成形
- 部材への適用例
- まとめと今後の展望
第4部 熱可塑性炭素繊維複合材料 (CFRTP) プレス成形によるトランスバースメンバーの開発
(2015年5月28日 15:00〜16:30)
広島県では、2009年度からプロジェクト研究として熱可塑性炭素繊維複合材料 (CFRTP) のプレス成形に関する技術開発に取り組んできました。その中で得られた知見を基に自動車用部品の適用事例として、株式会社ワイテックと共同でトランスバースメンバーの開発・試作を行い、性能評価を行いました。CFRPは強い異方性を持つため、製品開発にはCAEの活用が必須となります。その具体事例として、トランスバースメンバーの設計、試作、評価をご紹介いたします。
- はじめに
- 背景・開発動向
- CFRPの特徴
- CFRP製品の解析
- 弾性係数の取得方法
- 非線形を有する直交異方性
- 解析のチューニング
- CFRTPのプレス成形
- 成形プロセス
- プレス成形による繊維の動き
- コールドプレスとホットプレス
- 成形品への成形条件 (金型温度,プレス圧力) の影響
- CFRTPのプレス成形シミュレーション
- 成形シミュレーション導入の目的
- 解析パラメータ (材料物性) の同定
- 解析事例
- 構造解析との連携
- トランスバースメンバーの開発・試作
- トランスバースメンバーとは
- 設計方針と積層構成
- 試作
- 性能評価
- 実車走行試験
- まとめ