本セミナーでは、SP値の基礎から解説し高分子材料の開発、評価への活用法を詳解いたします。
高分子材料の相溶性や溶解性は高分子材料をいろいろな用途に用いるときあるいは開発するときには極めて重要である。ただ、溶液論的な観点からの説明は式が多く、またいろいろな研究者によって、非常に複雑な表現になったりして、それらを専門にかかわっていない者にとっては解りにくい。 無論SP値は有機低分子化合物で導かれた溶液論の一部であるが、そのバックグラウンドを理解した上で、応用に当たっては具体的にはどうしたらよいか、また、その使用限界はどこにあるのか詳しく述べたい。SP値は元々Hildebrand (米国) によって提案されたものであるが、Hansen (ドイツ) が後年独自のSP値の提案を行っている。両者の値は別個の提案であるので、意味合いが異なる。また、高分子材料の溶解性を論ずるのに、これらとは別の考え方を持つFlory (米国) によるχ (カイ) パラメータの提案がある。これら三者の提案はそれぞれ特徴を持っていて、実用に当たってはメリット・デメリットがある。これらの事について演者なりの解説と見解を述べたい。