日本のコンテンツ収入は総額約11兆円 (2011年) といわれ、米国の総額約32兆円 (2011年) に次いで世界2位の地位を占めますが、それぞれの海外収入比率を比較すると、米国が約17%であるのに対し、日本は約5%にすぎません。しかし、逆説的に言えば、日本のコンテンツの海外展開にはそれだけ伸びしろがあるとも言えます。2013年11月にはクールジャパン機構も設立され、日本コンテンツの海外展開に対する支援体制も整ってきました。そのような状況の下、日本の映像コンテンツを海外に展開する事例は、今後ますます増えていくものと思われます。 映像コンテンツの製作には多数の人が関与しており、それら多数の人の様々な権利が複雑に絡み合っています。映像コンテンツを利用するためには、それら多数の人の権利を適切に処理しておくことが必須となります。殊に、海外での利用となれば、言語の違い、法律の違い、契約文化の違い、業界慣習の違いなどから、国内利用のために従来行ってきた権利処理とは異なる範囲、レベル、方法による権利処理が求められます。 この講演では、映像コンテンツの海外展開において権利処理が必要とされる理由、権利処理が必要となる権利、権利処理の方法を、実務での経験を踏まえて、具体的に解説していきます。