審査官は特許・実用新案審査基準 (以下「審査基準」) に沿って審査します。進歩性欠如の拒絶理由が通知された場合、審査官が審査基準に沿って審査したところ進歩性なしとの結論に達したことを意味します。したがって、これに対抗するためには「審査官が進歩性の有無を判断するときの思考フロー」を理解したうえで、この思考フローに沿って審査官が審査した場合に進歩性ありとの結論に達するように、必要に応じて本発明を補正し、意見書によって意見を述べることが重要です。
しかし、審査基準には上記の思考フローが示されていません。また、審査基準には思考フローを構成する重要項目であるにも関わらず、詳細説明がなされていないものがあります。例えば、審査基準には「阻害要因」について、十分な説明がなされていません。
本セミナーで解説することは、大きく2つです。1つ目は「審査官が進歩性の有無を判断するときの思考フローとそれを構成する各項目の詳細」です。2つ目は「審査官がそのフローに従って判断した場合に進歩性ありとの結論に達するように、補正書・意見書によって誘導する方法およびノウハウ」です。これらについて、主に化学・材料系技術分野の具体例を挙げて説明します。
- 基礎知識の確認
- 拒絶理由における進歩性の位置づけ、新規性と進歩性の関係など、進歩性を理解するうえで必要となる基礎知識を確認します。
- 特許制度における「進歩性」の意味
- 拒絶理由の種類と進歩性欠如の特徴
- 拒絶理由通知書受領から特許査定または拒絶査定までのフロー
- 補正書作成におけるポイント
- 意見書作成におけるポイント
- 新規性の判断方法
- 新規性の判断は進歩性を判断するうえでの前提となります。
「審査官が新規性の有無を判断するときの思考フロー」を示し、それを構成する重要項目 (本願発明の認定方法、引用発明の認定方法等) について、具体例を挙げて説明します。
- 審査官が進歩性の有無を判断するときの思考フロー
- 思考フローを説明した後、この思考フローを構成する各部 (動機づけ、阻害要因、有利な効果、寄せ集め等) について、具体例を挙げて詳しく説明します。
- 思考フローの説明
- 動機づけと阻害要因
- 技術分野の関連性、課題の共通性、作用・機能の共通性、引用発明の内容中の示唆の詳細について、具体例を挙げて説明します。
- 有利な効果
- どのような効果が「有利な効果」と認められるのかを説明します。顕著な効果、異質な効果についても説明します。
- 設計事項等
- 公知材料の中からの最適材料の選択、数値範囲の最適化又は好適化、均等物による置換、技術の具体的適用に伴う設計変更の詳細について、具体例を挙げて説明します。
- 審査官が「進歩性あり」との結論に達するように補正書・意見書によって誘導する方法
- 拒絶理由通知を受領したときに検討すべきことを説明し、その検討結果に基づいて、補正書、意見書をどのように構成すべきかを説明します。また、包袋禁反言を考慮した意見書の書き方も説明します。
- 拒絶理由通知を受領したときに、何を、どのような順で検討すべきか
- 検討結果に基づいて、補正書、意見書を構成する。
- 何をどのような順で記載すると訴求力がある意見書となるかを、具体例を挙げて説明します。
- 主張するポイントごとに、記載すべきキーワードを説明します。
- 化学・材料技術分野に特徴的な実務
- 化学・材料技術分野に特有な発明について、進歩性を主張するうえでの注意点、ノウハウなどについて、具体例を挙げて説明します。
- 数値限定発明
- 選択発明
- 組成物の発明
- 合金、ガラス、ゴムなどの組成物は数値限定発明とも言えますが、一方で独特の対応方法、主張方法があります。実験成績証明書の利用方法についても説明します。
- パラメータ発明
- プロダクトバイプロセスクレーム
- 用途発明