医薬品開発の変遷に伴い、欧米では開発早期に従来の第一相臨床試験よりも低い用量での臨床試験を少人数で実施してヒトでの有効性と安全性を確認することが主流となってきた。日本でもこの考えに則って開発プロセスをシフトし、探索的な薬効確認をヒトで得る手法POCが定着しつつある。この手法は被験物質のオプティマイズが確実となり成功確率を高めるといわれている。何よりも必用なことは開発スピードであり、レギュレタリーサイエンスの基盤を遵守した開発が望まれる。
医薬品開発プロセスをダイナミックに改革し、迅速且つ過不足ない非臨床試験を完結しCTD / eCTDに従ったIND申請フォーマットを作成して、FDAあるいはEMEAへ登録し速やかな早期臨床試験を実施することが必須となる。
本講座は、このプロセスを理解し早期探索的臨床試験実施が可能となるように必要とされる非臨床試験項目とその評価法および申請資料作成について解説する。
- 第1部 医薬品開発プロセスの変遷
- 従来型の医薬品開発プロセス
- 現代型の医薬品開発プロセス
- 医薬品開発における評価技術
- IND申請に必要なCTD作成技術
- 第2部 探索的IND申請に必要な評価項目
- ICH-M3 (R2) 非臨床安全性試験の実施ガイダンス
- ガイダンスの適用範囲と一般原則
- 一般毒性で推奨される最高用量の選択
- 薬理試験
- トキシコキネティク・薬物動態試験
- 急性毒性試験・反復投与毒性
- 遺伝毒性試験
- 第3部 早期探索的臨床試験
- マイクロドーズ臨床試験
- 薬理作用評価のための早期臨床試験
- 作用機序 (MOA) 検討のための早期臨床試験
- 高感度分析技術と必用とされるCMC
- 準薬効用量・推定薬効域での非臨床試験
- 毒性試験
- 反復投与臨床試験
- 局所刺激性試験
- 遺伝毒性試験
- がん原性試験
- 生殖発生毒性試験
- 小児における臨床試験
- 免疫毒性
- 光安全性試験
- 薬物乱用に関する非臨床試験
- 配合剤のための非臨床試験
- 第4部 加速評価の実施要領
- 代謝予測評価法
- バイオマーカー
- 動物からヒトへの外挿評価
- 非侵襲性計測技術
- 漸増投与・複合試験評価
- 安全性薬理を含めた短期毒性評価
- データマイニングの活用
- レギュラトリーサイエンス