高分子成形に関わるコンピューターシミュレーションは、研究開発における補完技術の一つと位置付けられ、活用の仕方によって大きな力を発揮する。近年のコンピューターの発達により、複雑な計算や現象のシミュレーションなどが容易にできるようになってきているが、研究開発にシミュレーション技術を活用するためには、計算によってどんな情報を得てどのように使うかが大切である。
単に市販のプログラムを使って計算するだけでなく、研究開発過程で現れる現象や挙動をモデル化し、基礎式を誘導して数値計算することにより、必要なアウトプット量を求め、評価、活用することにより研究開発に役立てることができる。
- はじめに
- シミュレーションの対象となる高分子成形技術
- 繊維関係
- 紡糸技術の分類
- 紡糸シミュレーションの種類と開発経緯
- フィルム関係
- 製膜技術とシミュレーション
- 延伸技術とシミュレーション
- その他
- シミュレーションの目的と意義
- シミュレーションの実行手順
- 事例紹介
- 繊維関係
- 単孔系溶融紡糸 (エアーギャップ紡糸含む)
- 基礎式および材料物性などの関連式
- アウトプット量と応用例
- エアーギャップ紡糸の基礎挙動~高強力・高弾性率化、紡糸安定性関係
- 単糸内温度分布~糸条断面内分子配向
- 多孔系溶融紡糸
- 基礎式および材料物性などの関連式
- アウトプット量と応用例
- 基本紡糸挙動 (糸条断面積、走行速度、張力など)
- 紡糸応力~分子配向 (複屈折度Δn) の推定
- クエンチ・反クエンチ側糸条の挙動差
- 単糸間斑~紡糸条件、ノズル孔配列など
- スパンボンド紡糸
- 基礎式および材料物性などの関連式
- アウトプット量と応用例
- 紡糸挙動 (特に、エジエクター条件との関係など)
- スパンボンド糸の繊度~紡糸条件
- 乾式紡糸
- 基礎式および材料物性などの関連式
- アウトプット量と応用例
- 基本紡糸挙動 (糸条断面積、走行速度、張力など)
- 溶剤残存率, 糸条たわみ量~設備設計指針 (特に、チャンバー 条件など)
- 繊維物性、繊維構造の推定
- 紡糸不安定性 (ドローレゾナンス) 現象解析
- 非線形、非定常解の基礎式および解法
- ポリマーレオロジーとの関係
- 現象発生要因の把握 (ポリマー、プロセス因)
- その他
- フィルム関係
- 製膜におけるネックイン現象
- シミュレーションのモデル化
- ネックイン量のポリマー、プロセス因との関係
- 延伸による高次構造変化
- シミュレーションのモデル化
- 延伸条件~構造変化⇒延伸条件適正化
- 延伸によるボイド発現
- 非相溶ブレンド系の界面剥離現象
- 合成紙への応用
- 二軸延伸におけるボーイング現象
- テンター部における現象の把握
- ボーイング低減策の提案
- その他
- おわりに