第1部 二酸化炭素の工業用有機材料への利用技術課題と事業展望 (10:00~11:00)
産業活動により排出された二酸化炭素が地球温暖化に関連しているかもしれないことから、二酸化炭素は、その潜在的な有用性にもかかわらず、不要なもの・悪いものという印象をもたれている。
本講座では、地球温暖化問題と化石資源枯渇問題の解決に直接的に寄与することが期待される、二酸化炭素の有効利用技術を概観し、紹介する。
- 二酸化炭素についての基礎
- 二酸化炭素とは
- 二酸化炭素の有効利用 概論
- 資源・エネルギー・環境問題と二酸化炭素の関連
- 二酸化炭素の変換の考え方・方法と用途
- 二酸化炭素の反応メカニズム、プロセスの比較
- 古典的な化学品製造プロセス
- 二酸化炭素の有効利用 事例の紹介
- メタノールの製造
- 環状カーボネートの製造
- 芳香族ポリカーボネートの製造
- エネルギー化と燃料の製造
- 超臨界二酸化炭素の利用技術
- その他
- 現状の課題と今後の展望
第2部 排ガスからの二酸化炭素の分離回収技術と現状での二酸化炭素の用途 (11:15~12:15)
温暖化の問題となっている大気に排出されている排ガスから二酸化炭素を回収する技術や商業実績を解説すると共に、現状での二酸化炭素の用途を解説する事により、今後の二酸化炭素の有効利用が拡大する事を期待する。
- 温暖化問題と欧米各国の動向
- 温暖化対策のターゲットとCO2回収・貯留
- 三菱重工の排ガスからのCO2回収プラントの実績
- 三菱重工の排ガスからのCO2回収技術
- 二酸化炭素の有効利用方法
- 一般用途
- 化学的利用
- 原油回収率向上
- 温暖化対策としてのCO2・貯留
第3部 二酸化炭素を用いた有機合成反応触媒 (13:00~14:00)
二酸化炭素は還元すれば一酸化炭素とすることかできるし水素があればメタノールやエタノールの合成も可能である。
二酸化炭素削減の基本は省エネルギーであるが、 知恵を絞り二酸化炭素を少しでも有効に用い後世に貴重な資源を少しでも残したい。
- 二酸化炭素の有効利用
- 二酸化炭素からの合成ガスの製造
- 二酸化炭素からのメタノール合成
- 二酸化炭素からのエタノール合成
- 二酸化炭素のGTLの合成
- 二酸化炭素のファインケミカルへの応用
- 二酸化炭素リサイクル
第4部 固体触媒を用いた二酸化炭素からの有機カーボネート合成 (14:15~15:15)
二酸化炭素を有用な有機化合物へ変換する化学反応と触媒に関する基本を紹介する。具体的には、二酸化炭素とメタノールの反応により合成させる炭酸ジメチルを取り上げる。
炭酸ジメチルは、ポリカーボネート樹脂製造の原料となる有用な物質であり、現在ホスゲン等から合成されている。一方で二酸化炭素から製造できるようになれば、有毒なホスゲンを二酸化炭素で代替することができるようになる。
酸化セリウムが有効な触媒であることが見出されており、触媒の表面特性や触媒反応機構についても説明する。
- 二酸化炭素の反応:還元と非還元
- 二酸化炭素からの有機カーボネート合成
- 炭酸ジメチルの製造と利用
- 二酸化炭素とメタノールの反応による炭酸ジメチル合成
- 炭酸ジメチル合成用固体触媒:表面特性と反応機構
- 炭酸ジメチル合成の平衡制約
- 副生する水の除去による平衡のシフト
- ニトリルの水和反応を組み合わせた低圧二酸化炭素からの炭酸ジメチル合成
- まとめ
第5部 二酸化炭素からの脂肪族ポリカーボネートの直接合成 (15:30~16:30)
二酸化炭素を直接原料とする有機合成反応の1つにエポキシドとの交互共重合による脂肪族ポリカーボネートの合成がある。これは二酸化炭素から1段階のみの反応でポリマーが得られる画期的な反応で、今から40年以上前に見いだされた。
最初の発見の直後から優れた触媒を開発しようとする試みが行われ、現在もなお活発な研究が続いている。
本講座では、触媒開発の歴史やその際のアイデアの紹介から解説を始め、さらに近年の研究開発動向を紹介しながら、世界的な開発の進捗状況と事業化への課題と展望を説明する。
- 二酸化炭素・エポキシド交互共重合による脂肪族ポリカーボネートの合成 緒論
- 最初の発見
- 研究開発の課題
- 二酸化炭素・エポキシド交互共重合用触媒の研究開発
- 触媒開発の課題歴史
- 触媒開発の事例
- 触媒開発の最近の事例
- 脂肪族ポリカーボネート樹脂の諸物性と特徴
- 脂肪族ポリカーボネート樹脂の物性概説
- 脂肪族ポリカーボネート樹脂の構造と物性の相関
- 脂肪族ポリカーボネート樹脂の想定される用途と課題抽出
- 脂肪族ポリカーボネート樹脂の物性向上のための研究開発
- 樹脂物性向上のためのアイデア
- 樹脂物性向上の事例
- 工業化・実用化に向けた研究開発動向
- 日本の取り組み
- 諸外国の取り組み