セルロース系天然繊維の特性発現性と複合化による効果、その最新動向

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
会場 開催

本セミナーでは、植物系天然繊維が優れた機械的性質を発現するメカニズム、強度信頼性、ならびに力学的・化学的負荷による改善効果について解説いたします。さらに複合化の観点をまったく変えた新しい天然繊維系複合材料の最新動向や力学的視点によるナノ効果についても詳解いたします。

日時

開催予定

プログラム

植物系天然繊維を使った複合材料が自動車の内装材等に使われるようになり、最近ではモビリティ全般への普及が検討されている。

  1. 天然繊維の微視構造と負荷による回転機構
    - なぜ,天然繊維は優れた剛性を発現すのか? -  セルロース系天然繊維は素繊維細胞 (シングルセル) が多数集まったマルチセルからなる.セルロースの結晶弾性率はガラス繊維を上回るもののセルロースが束状にらせん状配列したシングルセルではその優れた剛性機能が十分生かされない。本章ではシングルセルへの負荷による回転現象に着目しマルチセル構造をとることにより剛性が首尾よく発現される機構を解説する。
    1. セルロース系天然繊維の種類と構造
    2. 膨張による天然繊維の回転とそのメカニズム
    3. 引張負荷による天然繊維の回転の様相
    4. マルチセル天然繊維の剛性発現機構
  2. 天然繊維の信頼性
    - 天然繊維の弾性率はなぜ大きくばらつくのか? -  天然繊維はマルチセル構造をとることにより優れた剛性が発現される。一方で従来から指摘されているようにその値は統計的に大きくばらつく。本章では,異方性弾性論を用い、ばらつきが大きく現れる理由について解説する.加えて信頼性工学的観点からどのようにすればばらつきが抑えられ、剛性に関して信頼できる材料になるかを解説する。
    1. 撚糸弾性率の力学モデル
    2. FOSM法による信頼性解析
    3. モデル実験による結果と信頼性工学的考察
    4. 強度のばらつきに対する提言 – 人工繊維との比較から -
  3. 繰返し引張負荷による天然繊維の強度改善と複合材料への適用
    - 改善によってガラス繊維強化プラスチック (GFRP) に肉薄できるか? -  セルロース系天然繊維内のセルロースミクロフィブリル (CMF) の構造を再配列させる、強度・剛性が向上する.このような繊維単体での改善効果を複合材料に利用する工学的手法とその結果について解説する。
    1. 複合材料の強度・剛性・靭性発現機構の基本原理 – GFRPを例として -
    2. 繰返し引張負荷による天然繊維の強度改善
    3. 単軸負荷による天然繊維複合材料の強度・剛性の異方性的改善
    4. 多軸負荷による天然繊維複合材料の強度・剛性の等方性的改善
  4. アルカリ処理による天然繊維の高靱化と複合材料への適用
    - ガラス繊維にはない特性発現性と複合材料への適用 -  テキスタイル材料で培われてきたアルカリ処理による天然繊維の改質効果の一つとしてマーセル化による靱性向上効果が挙げられる.このような特性発現性はガラス繊維にはなく、セルロース系天然繊維特有の現象である。本章ではこの改質効果が複合材料中で発現可能かどうかについて解説する。
    1. 天然繊維へのアルカリ処理と界面接着性について
    2. アルカリ処理による天然繊維の靱性改善
    3. アルカリ処理天然繊維による複合材料の靱性改善 – 引張特性と衝撃特性 -
  5. 天然繊維複合材料の最新動向と今後の展望  これまで述べたように天然繊維複合材料は剛性と靱性に関して学術的観点からGFRPに肉薄できる可能性を示した。しかしながら強度に関してはGFRPを上回るには困難がともなう。本章では複合化の手法を根本的に変えた新しい天然繊維系複合材料について最新の動向を紹介する。さらに当該分野で今後の発展が見込まれているナノセルロースを取り上げナノ効果とは何かについて解説する。
    1. 複合化の観点をまったく変えた新しい天然繊維系複合材料
    2. ナノセルロース系複合材料と力学的視点によるナノ効果談義

会場

東京ビッグサイト
135-0063 東京都 江東区 有明3-11-1
東京ビッグサイトの地図

受講料

複数名同時受講の割引特典について