リビングラジカル重合用 脱"希少金属・貴金属"触媒の開発

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プログラム

第1部 (13:00~14:00)

均一系鉄触媒の開発研究
~基礎化学から分離回収再利用可能な原子移動型リビング重合用触媒系まで~

 今年度を含め過去10年間の少なくとも3つのノーベル化学賞には、金属錯体触媒の化学が大きく係わっている。錯体触媒の特徴は、溶液中で進行する他の有機反応では達成できない反応を多く実現するだけでなく、金属あたりの活性が高く、触媒となる有機金属分子の設計次第で反応の選択性を自由自在に制御することが可能である。  一方において、現代の資源制約下で高価な貴金属の使用に限界が出ていること、および、金属の生成物からの分離回収が大きな課題となっている。鉄は生体に必須な元素であり、安全で環境負荷を与えない。また、地球上に広く分布して多量に存在しており、安価である。このため、鉄錯体触媒は今後の有機合成、高分子合成における大きな課題となっている。  本講演では、この鉄錯体触媒の開発研究を、鉄錯体の基礎化学と研究手法を例をあげて解説する。とくに、具体例として原子移動型ラジカル反応用触媒の開発を錯体触媒の設計、合成、同定から機能開発にいたる研究を紹介することにより、鉄触媒開発の指針を示す。

  1. 鉄錯体の基礎化学
    1. 元素としての鉄の特性と将来性
    2. 鉄錯体の基本的性質
    3. 鉄錯体のスペクトルと構造解析
    4. 鉄錯体触媒の設計法と素反応解析 (カップリング反応機構、アルキンのビスシリル化を例に)
  2. 鉄錯体触媒開発の実際例~リビング重合系の開発
    1. ATRP (原子移動型ラジカル反応) 概説・触媒に求められる条件
    2. 1,4,7-トリアザシクロノナン (TACN) の配位子への利用 (1)
      ~ Me3TACNを配位子とするFe (II) 錯体の開発と回収再利用可能なATRP触媒への展開 ~
    3. 1,4,7-トリアザシクロノナン (TACN) の配位子への利用 (2)
      ~ iPr3TACNを配位子とする高活性Fe (II) 錯体の開発と少ない触媒量での重合 ~
    4. より実用的な系を求めて~Fe (III) 錯体を利用するには
  3. まとめと将来展望:次世代触媒・触媒プロセスとしての生元素触媒完全回収系

第2部 (14:55~16:35)

非遷移金属触媒を用いたリビングラジカル重合の低コスト化技術

 近年、リビングラジカル重合法が、最先端分野に用いられる高付加価値高分子を製造する精密重合法として注目されている。  例えば、エラストマー、接着剤、ポリマーアロイ、レジスト、コーティング、塗料、インク、界面活性剤、分散剤、化粧品、潤滑剤、電子・光学・力学・分離・潤滑・生体・医療材料分野等への利用が期待されている。

 私共は、最近、汎用の安価で低毒性のリン、窒素、アルコール、炭素化合物がリビングラジカル重合の優れた触媒として作用することを発見し、各種の機能性モノマーの重合を制御している。触媒は、取扱いが容易で、重合は簡便です。経済性、環境安全性、簡便性に優れると期待しえる。

 本講座では、この重合法を解説し、有機触媒の活性やその長所、実用化への技術的な課題等について、紹介したいと思う。

  1. リビングラジカル重合 (LRP) の概要
    1. リビングラジカル重合の概要
    2. リビングラジカル重合の動向
    3. 想定される用途
    4. 鍵となる素反応からみたリビングラジカル重合
  2. 有機触媒を用いたリビングラジカル重合
    1. 概念
    2. 各種の触媒
    3. 各種のモノマー
    4. ランダム・ブロック共重合
    5. 開始種 (ドーマント種) の重合中in situ合成
    6. 表面開始グラフト重合
    7. 分岐高分子
    8. 反応速度論的研究-反応機構の確定と触媒活性の定量的評価
    9. 本重合の長所
    10. 本重合の技術的課題

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