明治大学 理工学部 兼任講師
(元 日立金属)
徳永 雅亮 氏
永久磁石モータはその他のモータと比較して効率が良いため、地球温暖化対策のための省エネや新エネルギーの分野での利用が活発化している。主役はネオジム系焼結磁石であるが、近年希土類元素生産が中国にかたよっているために、価格高騰や日本への輸出停滞等政治的な影響をも受けている。 このような社会および経済的な背景から、希土類磁石の生産量低下が懸念されている。対策として希土類資源確保の脱中国化、Nd, Dyのリサイクル、モータの脱ネオジム磁石等が検討されている。 本講演では永久磁石モータの現状をレビューし、Nd-Fe-B系焼結磁石および永久磁石モータの将来と課題について述べる。
愛知製鋼(株)
電磁品事業本部
電磁品開発部
野口 健児 氏
自動車の電動化に伴い、搭載モータの小型・軽量化のニーズが高まっている。そのためのモータの新設計および新材料の採用が、積極的に試みられている。 当社の異方性NdFeB系ボンド磁石マグファインは、フェライト磁石に比べ5倍の磁力、ネットシェープとそのモータへの組付の容易性が特徴である。これまで、軽量化を目的とした車載シートモータに実用化され、生産累積で2,000万個に達した。しかしながら、ユニット系などへのマグファインの市場拡大には、信頼性、耐熱性、コストと3つの大きな課題があった。 そこで、我々は、磁粉表面のマイクロカプセル化による信頼性向上、Dy無添加でも高い保磁力を有する磁粉開発、磁石の低コスト成形加工技術の開発を行うことで、前述した3つの課題を克服し、コストパフォーマンスに優れたNewマグファインを提供するにいたった。 本講演では、これらの課題を克服した技術、ならびにNewマグファインを用いたモータの小型化への提案を紹介する。
大阪府立大学大学院
工学研究科
電気・情報系専攻
電気情報システム工学分野
教授 工学博士
森本 茂雄 氏
EV/HEVや省エネ家電などに用いられている高性能モータには、レアアースを使用したネオジム磁石が使用されているが、ネオジム磁石を使用しない脱レアアースリラクタンスモータについて説明する。 まず、同期リラクタンスモータの基礎について説明し、高性能化手法や開発事例などについて解説する。 つぎに、EV/HEV駆動用の脱レアアースリラクタンスモータの開発について設計から試作・試験評価まで具体的に説明する。
(独)産業技術総合研究所
環境管理技術研究部門
金属リサイクル研究グループ
主任研究員
小山 和也 氏
Nd-Fe-B系磁石は代表的な希土類磁石であり、今日の我々の生活には欠くことのできないものとなっている。 廃製品に含まれる希土類磁石のリサイクルは鉱山の権益確保、省使用・代替材開発などとともに重要と考えられている。 ここでは、主に化学的な方法による磁石からの希土類成分の回収技術について述べる。