第1部 RO膜を用いた海水淡水化技術動向
世界的に水需要の増加と共に水不足が年々深刻になっている。そのため海水淡水化やかん水河川水の利用、下排水の脱塩再利用が増加している。特に海水淡水化は近年目覚しい成長をしている。主な脱塩方法は蒸発法や逆浸透 (RO) 膜法が挙げられ、現在は低エネルギーで運転できるRO膜法が大半を占めている。
RO膜法による海水淡水化の造水コストは膜コスト、エネルギーコスト、薬品コストで全体の半数以上を占めており、これらのコスト低減はより安価な水をつくる上で必須である。
本セミナーではRO膜メーカーの取り組みを中心に解説する。
- 現在の水需要とトレンド
- 水ストレス
- 利用できる水
- 脱塩方法のトレンド
- 海水の淡水化
- 海水淡水化方法
- 蒸発法
- RO膜法
- 海水淡水化方法のトレンド、コスト比較
- RO膜法
- 原理と歴史
- 構造
- 圧力容器 (ベッセル)
- 高性能RO膜開発の歩み
- RO膜開発の歴史
- RO膜性能のトレンド
- 高塩除去率、高ホウ素除去率タイプ
- 高透水性、低圧力タイプ
- 適用例
- 造水コスト低減の取り組み
- 造水コストの内訳
- エネルギーコストの低減
- RO膜の改良
- 周辺技術 (エネルギー回収装置、ポンプ)
- RO膜コスト、初期投資コストの低減
- 高膜面積RO膜エレメント
- 大口径RO膜エレメント
- システムの開発
- 高アルカリ下運転
- スプリット部分二段脱塩法 (SPSP, Split Partial Second Pass)
- 薬品コスト低減
- 前処理技術
- 最適エレメント構造の開発
- システムの開発、ハイブリッドデザイン
- 米国における取り組み
- 今後の展望
- まとめ
第2部 MF膜、UF膜、NF膜を用いた海水淡水化の効率化
- 海水淡水化装置の概要、その歴史と技術の現状
- RO膜を用いた海水淡水化装置
- RO膜法の問題点、課題
- その他の膜技術、MF、UF、NF膜
- MF膜
- UF膜
- NF膜
- ハイブリット型海水淡水化装置
- エネルギー持続型海水淡水化装置
- まとめ
第3部 正浸透 (FO) 膜を用いた海水淡水化の原理と現状
最近、水処理技術のひとつとして正浸透 (FO) 法が注目されている。海水淡水化において現在主流である逆浸透 (RO) 膜法では水流束の駆動力として静水圧を用いるのに対して、このFO法では高浸透圧溶液 (ドロー溶液:DS) の浸透圧を駆動力とする。そのためRO膜法と比較してFO法では高水流束、高処理水回収率、省エネルギー、低コストでの海水淡水化が期待出来る。
本セミナーでは、最近盛んに研究が行われている正浸透 (FO) 現象と正浸透現象を用いた水処理プロセスの原理について解説し、FO法海水淡水化の現状について述べる。
- 正浸透 (FO) の基礎
- 淡水化の未来技術としてのFO
- FOに関する研究の推移
- 浸透現象の原理
- 正浸透 (FO) 現象とは
- FOを用いた水処理法
- 浸透現象の原理
- FOとROの違い
- FO法海水淡水化の現状と課題
- FO用膜
- FO膜の要求性能
- 内部濃度分極 (ICP)
- ICPと膜構造
- 市販FO膜
- 最近のFO膜研究報告例
- FO用膜モジュール
- ドロー溶液 (DS)
- DSの要求性能
- DSの報告例
- ドロー溶液再生法
- まとめ