(2015年3月4日 10:00〜11:20)
トナーとは、基本的には高分子微粒子であるが、そこに要求される機能は、本来の着色材としての機能だけではなく、安定的な摩擦帯電性、定着性 (加熱により容易に溶融流動する) 、保存性 (高温下でも溶融融着しない) 、流動性の確保など、多くの、しかも互いに相反する機能を要求される機能性高分子微粒子である。 トナーの製法は、いわゆる粉砕分級法が主体であったが、近年それに代わる方法として重合法が重要となっている。重合法ではより高機能なトナーが期待できるためである。 重合法トナーの製法としては、乳化重合の応用、懸濁重合法の応用、さらにその他の方法を基盤とする開発が進んでいる。 本セミナーでは、これらの方法を概観し、そのなかで最も適した製法である懸濁重合法による製法について解説する。懸濁重合法によるトナー製法において、上記した、トナーの様々な要求機能に対応するために、粒子径の制御、他材料 (着色剤、電化制御等) との複合化、分子量分布の制御、表面処理などの手法が必要となる。これらの具体的手法の実際を述べる。
(2015年3月4日 11:30〜12:50)
高画質デジタル印刷に対応が可能な技術の候補として液体電子写真技術がある. 液体現像剤 (液体トナー) による画像形成技術と競合する印刷・インクジェット 技術を比較し,画像品質からみた技術的な優位性と現状の課題を整理する. また,最近の液体電子写真の開発例から,今後のデジタル印刷の開発の方向性に ついて考察する。
(2015年3月4日 13:40〜15:00)
トナーは電子写真技術において、画像品質に大きな影響を与える消耗品である。 その帯電・像形成機構には、理解されていない現象が多くある。画質の改善をはかるためには、トナーの帯電・像形成機構を理解することが重要である。そこでトナー帯電を支配している要因、像形成機構について述べる。また、トナー帯電測定法についても触れる。
(2015年3月4日 15:10〜16:30)
定着はゼログラフィーの最終プロセスであり、定着で最終画質が決まる。また、複写機の電力の70%を定着が消費している。最近の高速高画質・省エネ要求にこたえるために、各社新技術を採用した特徴ある定着コンセプトを商品化しており、なおも技術革新が継続して進化している。 これまで富士ゼロックス (株) の定着技術をリーディングしてきた講師が最新の高速高画質・省エネ定着と、それを実現するためにトナーに要求される特性について講義する。