本セミナーは、大気圧プラズマの基礎から解説し、表面処理、環境浄化、医療分野への応用を中心に大気圧プラズマ技術の基礎・用途展開動向について詳解いたします。
(2015年3月26日 10:30〜11:45)
プラズマ技術の持つ、素材に対する高度な機能性付与能力は、半導体分野以外でも確実にそのニーズが拡大してきた。例えば、従来の化学的処理などでは全く歯が立たない新規素材への処理が、低温プラズマ技術で可能になる場面が多く出てきている。 大気圧プラズマは、先端的応用に必要な、プラズマの均一性、安定性、反応活性、高スループット性などを兼ね備えた新しいプラズマ技術として、筆者らが提唱した比較的新しいプラズマ技術であるが、現在では重要な基礎技術として日々世界中に拡大しつつある。本講義では大気圧プラズマの原理と、それを基礎とした各種産業応用への展開例について判り易く紹介する。
(2015年3月26日 12:30〜13:45)
大気圧プラズマを利用した表面改質 (洗浄,アッシング,エッチング,CVD) 技術は、2000年以降、多くのFPD製造工程で実用化されてきた。特に液晶 (LCD) 工程では、高速処理で生産量が上げられ且つ、低コストな製造工程が可能な大気圧プラズマは必要不可欠の技術となっている。また、プリント配線板においても、低線膨張係数 (CTE) の高絶縁材料の積層化が進んでおり、大気圧の枚葉型の易接着処理技術の要求が高まっており実用化は進んできた。 近年、高機能光学フィルムや、高密度FPCを高精度印刷/塗工技術の進歩でプリンタブルエレクトロニクスが注目を浴びている。Roll-to-Rollで高速で連続印刷出来れば、プロセスの大幅な簡略化、製造納期の短縮により、劇的なコストダウンが期待できる。 そこで、大気圧プラズマのPFD分野での大気圧プラズマ実用例やRoll-to-Roll技術へ適応可能な大気圧プラズマを利用したフィルム表面処理技術に関して紹介する。
(2015年3月26日 13:55〜15:10)
本講演でははじめに、大気圧プラズマの発生方法と発生メカニズムの基礎について実例をあげわかりやすく解説します。次に講師が開発した大気圧プラズマ複合環境浄化技術の基礎と応用例を、分野の最新動向を交えながらわかりやすく解説します。例として、ディーゼルエンジン排ガス処理、工業用ボイラー排ガス処理、水中プラズマによる水浄化廃水処理、揮発性有機化合物 (VOC) 分解処理、空気清浄装置などを選択し、受講後、類似の開発を直ちに始めることができるような具体的情報を中心に提供します。なお、研究途上の技術については実用化に向けた技術的課題、今後の見通しを述べます。
(2015年3月26日 15:15〜16:30)
光源以外には役に立たぬと揶揄されたプラズマの時代はプラズマの歴史の中では驚くほど長く、こうした光源応用のプラズマが第一世代とすれば、半導体プロセスなどに用いられる真空プラズマが第二世代、容器から飛び出し空間的な自由を得た大気圧プラズマは第三世代のプラズマと言える。そして、触っても熱くも痛くも無い大気圧プラズマの登場により、いよいよ究極の照射対照物である、生物、殊更人間へのプラズマ照射が可能となった。こうしたプラズマが第四世代であるとすると、その時代はまだ短く、歴史は浅い。 本講座では、現在講演者らが研究中の、大気圧プラズマを用いた殺菌や洗浄技術、疾病の簡易診断への応用などを紹介する。併せて、初めて大気圧プラズマを扱う技術者、研究者に向けて、前世代のプラズマと決定的に異なり、研究を進める上で気をつけなくてはいけない点についても触れる。