本セミナーでは、スマートフォンを始め各種ディスプレイデバイスに求められる反射防止フィルムに求められる要求特性やその構造、また反射防止フィルムへの防汚・撥水・撥油などの機能付与および、モスアイ構造の応用による高機能化事例まで解説いたします。
生物のしくみや機能を解明して、人間や社会に役立てる模倣を行う技術のことを生体模倣技術と呼ばれている。モスアイ構造は、生体模倣技術の中から生み出された構造として近年注目を集めている。 蛾の眼 (モスアイ) は、夜間に活動する為に僅かな光でも無駄なく取り入れることや外敵から身を守る為に反射を抑制することで夜行性を獲得したと言われている。蛾の眼の表面には光の波長より小さな約数百ナノメートルの微細な凹凸構造が形成されており、可視光域の反射を大幅に低減する機能を持っている。モスアイ構造の反射防止機能は、従来の多層膜の反射防止フィルムに比べ波長依存性や角度依存性が少なく高い反射防止性能を持っている。さらにナノインプリント技術を用いることで工程数を減らすことが可能であり、反射防止フィルムの高性能・低コスト化が期待されている。 ナノインプリントとは、マイクロやナノメートルサイズの微細な構造を持つ金型を用いて樹脂に金型の形状を複製する微細加工技術である。イメージとしては、ハンコを押していくようなものである。生体模倣技術で見出された構造や光学設計に基づいて設計された構造を安価に製造することが可能となる。