本セミナーでは、塗布膜の乾燥の理解に必要となる物理学の基礎から解説し、塗布膜の不具合の原因と対策、未然防止策について詳解いたします。
塗布膜の乾燥機構の解明は、半導体プロセス工学におけるレジスト塗布工程をはじめとして様々な工学等の分野で求められている重要な課題である。塗布膜の乾燥においては 、例えば乾燥後の膜厚分布が均一になることが求められるが、多くの場合、膜厚分布が均一にならず、また乾燥条件によって膜厚分布が変化することが経験的に知られていた。均一な乾燥後の膜厚分布を得るためには、塗布膜の乾燥過程の機構を解明することがまず必要で、その解明を経て、必要な制御を系に施すことにより、均一な乾燥後の膜厚分布を得るという目標へ近づくことになる。均質な膜分布を得る場合も同様である。また、乾燥後の様々な欠陥を克服する際にも、同様のプロセスが必要となる。 本講演では、塗布膜の乾燥工程の機構を解明するにあたり必要となる物理学的知識、考え方の講義から始めて、それらを基にした上記工程のモデル化の実際、およびその数値シミュレーションの実際を概説するとともに、これに基づいて様々な塗布膜不具合の原因を物理学的に考察する。そして、膜乾燥における様々な欠陥、問題の克服に向けて考察する。 この講演が、今後参加者が実際に扱う系の乾燥過程の理解および乾燥後の欠陥対策のヒントとなることを目指す。