ゴム材料は、文房具、家庭用品から産業資材まで、幅広い分野で利用されている有機高分子複合材料である。しかし、有機材料であえるがゆえ、その寿命は、一般に金属に比較して短い。材料の寿命は、劣化速度と密接な関係があることから、ゴム材料の劣化を理解し、劣化速度を低減できる工夫を行うことにより、材料の寿命を延ばすことが可能と考えられる。 一般のゴム材料は、加工工程における物理的、化学的作用を利用して得られる複合材料であり、その構造は複雑である。したがって、構造を理解し、その制御を行うことにより、材料の力学的高性能化、長寿命化が可能になると考えられる。 本講座では、これらをふまえて、ゴム材料の劣化と構造の関係について実例を取り上げながら、概説する。