高分子の電気特性に関する配合設計技術は、化学を専門とする技術者にとって異質な課題であり、自身の経験が活かしにくい分野でもあります。
本講では、今後も伸びが期待されている高分子分野の代表的な5つの電気特性を取り上げ、配合設計と混練加工の基本的な技術を物理学的論証と共に解説します。更に、電気特性の計測技術に関する、気づきにくい誤りとその対応策を提示します。電気性能は、プラスチック・塗料・接着剤・ゴム・繊維と多岐に亘る製品に多様な展開が行われており、更なる期待も集めています。
共通項など感じられないそれぞれの製品固有の技術課題が、実は同じ考え方で連接していることを、実例を通して理解いただきたいと考えています。
- 明快直入のウロコ : 高導電性 配合設計論
- 高分子に共通する量子論的電気挙動
- 高導電設計の基本的な設計技術
- 理論的に得られる導電性上限と阻止要因
- 金属系キャリア材料の選択の着眼点
- 五里霧中なウロコ : 半導電性 配合設計論
- 「計測技術の確立なくして設計不可能」の現実
- 半導電設計の考え方と物理学的検証
- 半導電領域に適したカーボンブラックの見分け方
- 分配係数という概念と必要な混練技術
- 複雑多様なウロコ : 静電気放散性 配合設計論
- 静電気の本質と定量化
- 用途で変わる静電気放散性付与の設計
- 帯電防止剤 選択のポイントと機能の限界
- フィルム製造における剥離帯電現象と加工技術
- 茫洋誤認のウロコ : 電波 吸収性&遮蔽性 配合設計論
- 電界・磁界・周波数の関係を理解する
- 電波吸収用配合材料と周波数に適した設計指針
- シールド設計の鍵は「アルミ箔を超えられるか」に在り
- 技術よりもマーケテイング力が制する市場の異質
- 基礎構築のウロコ: 高絶縁性 配合設計論
- 電気の通り道を分子レベルで考察する
- ポリマー分子構造から絶縁能力を読み取る
- フィルムとシート製造における水分と異物対策
- 絶縁に関する測定値のバラツキをどう捉えるか