乾燥操作は熱を与えて水分あるいは溶剤を蒸発させる点から相変化を伴う熱と物質の同時移動現象の典型例である。セラミックス、木材のような大きな成型材料から、粉粒状、ペースト状さらに液状材料ときわめて多種多様の材料が乾燥の対象となるので、乾燥装置もまた多くの形式がある。 乾燥操作の予備知識として湿り空気の諸性質、熱と物質の同時移動の典型例である湿球温度の概念、断熱冷却変化、湿度図表を解説する。含水率、材料中での水分の保持状態を解説し、乾燥のメカニズムを考える。乾燥のメカニズムに基づいて乾燥速度の定量的な捕らえ方を講義し、乾燥時間を短くするコツを紹介する。また、組成偏析、材料の変形やクラックの発生、材料の表面平滑性、残留溶媒の低減策、乾燥過程での成分散逸防止に関して講述する。多種多様な材料を乾燥するために数多くの乾燥装置が開発されているが、装置選定、装置設計、熱効率のポイントを解説する。最後に質疑応答を中心にトラブル対策を紹介する。