20年ほど前に、「情報と通信の融合」をコンセプトとして始まった「Telematics」は、Car-NaviやETCとの連携によりITSというインフラ構築により着実な進歩を進めている日本市場を除き、コンセプト倒れかに考えられていた。しかし、既存の「Smartphone」とは全く異なるコンセプトで登場したiPhoneやAndroid Smartphoneなどの「次世代Smartphone」の本格普及にともなうCloud Computing環境の確立により、Smartphoneと連携した「Infortainment」という形で再活性化されつつある。これは、通信インフラの充実によりSmartphoneで起こった変化に類似している。つまり、「次世代Telematics」世代に突入したのだ。「旧Telematics」は自動車産業が牽引してきたが、次世代Telematicsの主役はIT産業である。そのため、Smartphoneの世代交代のように、変化は急激に進むと考えられる。Smartphoneの変化に乗じることが出来なかった「過去の巨人」が急激に衰退したと同様な変化が起きることだろう。 次世代Telematicsでは、車載Entertainment機器は、以前の「スタンドアローン」な状態からインターネットと融合して利便性を高めた「Infortainment」機器へと進化していく。そして、「運転」に対するコンセプトも単なる安全性を追求するASV構想だけに止まらず、快適性を高めるADASも世界的に話題性が高まり、ImagingやSensingなどの機能搭載が活性化している。それらを実現する上で、カメラモジュールの果たす役割の重要性はますます高まっている。さらに、アメリカのKT法成立や、欧州のHigh Beam Regulation法の成立、新車購入時の目安となる各国のNCAPの本格化・市場の信頼度の向上など、カメラモジュールの必要性が高まるインフラ整備が着々と進んでいる。また、車載用カメラモジュールは、今後1,2年で金額市場規模が飽和すると見込まれているSmartphone用に加わる有望な市場として自動車が脚光を浴びつつある。 本講座では、このような市場背景、自動車用として最適なカメラモジュールの機能や仕様について詳説する。