第1部 『承認審査での論点や検討時事例をふまえた臨床試験での欠測データの低減と解析・評価方法』
(2014年12月15日 10:30〜13:00)
臨床試験では,しばしば被験者の生活環境の変化、有害事象の発現、治療効果不十分などの理由による被験者の非来院や治験の中止により、本来は測定されるべきデータが欠測してしまうことが起こりうる.欠測データは,臨床試験において試験結果とその解釈にバイアスを生じさせる代表的な要因であることがICH-E9 (臨床試験のための統計的原則) で述べられている.本講座では,欠測データの取り扱いに関する現時点での動向について,一般的に欠測データあるいは中止例が多いとされている疼痛領域,精神疾患領域に着目し,試験計画段階及び承認審査での論点について,特に検証的試験におけるいくつかの事例を含めて検討内容を紹介する.
欠測データの取扱いに関して以下の点について理解を深める
- 欠測データの取扱いに係る動向の把握
- 申請資料における欠測データの取扱いの状況
- 欠測データを低減するための方策
- 欠測データの取扱いに係る動向について
- NASレポート
- EMAガイドライン
- 中枢神経系疾患領域における動向
- 臨床試験における欠測データの取扱いについて
- 欠測データを低減するための方策
- 欠測データを含む解析方法の選択
- 感度解析
- 承認審査資料から見た欠測データの取扱いの現状
- 公開資料に基づく承認審査での検討事項の実例
第2部 『National Research Councilのレポートで取り上げられた欠測データ解析手法の詳説』
(2014年12月15日 13:50〜16:30)
- 2010年に出版されたNational Research Councilのレポート” The prevention and treatment of missing data in clinical trials.”で取り上げられている欠測データ解析手法は、かなり高度な手法が多く、その適用の可否を判断するためには、統計的背景の理解が必要となってくる。
本講座では、様々な欠測データ解析手法の統計的な背景の詳説することを目的とする。
欠測データ解析手法で用いられているモデルの背景を詳説する。解析手法の名前を聞いたことがあるが、どのような手法かイメージが掴めていないという方が対象です。可能な限り、前提知識なく、手法のイメージが掴めるように解説します。
- 不完全データからの推論
- 欠測の仮定
- 様々な欠測データ解析手法の原理
- 欠測値を伴う症例を除いた解析手法 (complete-case analysis)
- 欠測値を埋める解析手法 (Single imputation, Multiple imputation)
LOCF法
BOCF法
regression imputation法
hot deck imputation法
Multiple imputation法
- 欠測値を伴ったデータでも解析できる方法
尤度に基づく方法
モーメントに基づく方法 (IPW法、拡張IPW)
二重ロバスト性
セミパラメトリックな方法 (Coxの比例ハザードモデル)
- 感度解析の原理
- Pattern Mixture Modelアプローチ
- Selection Modelアプローチ