粒子の開発、製造の現場では様々な問題に直面する。例えば、粒子開発が滞る原因のひとつに、正確な分析ができていないことにある。粒子がどのような状態にあるか、表面修飾が均一にできているか、粒度分布だけでは品質のバラつきを評価できていないのではないか、などの疑問に対して“考える力”を養うため、本講座では基本的な粒子分析技術を紹介する。さらに、“磁化率による粒子評価法”など新しい技術についても紹介し、粒子開発や品質評価を加速させるヒントを提供する。
- はじめに
- “分析する”意義について
- 粒子分析のあらまし
- 粒子径測定の方法
- 粒子の大きさと分析法の分類
- 粒子の大きさ“流体力学半径”“面積径”“体積径”
- 粒子の“何を以て”大きさと言うか
- 粒子の“いびつさ”はどう評価する?
- フラクタル次元による粒子評価
- 光学顕微鏡での粒子像観察
- 光学顕微鏡の粒子像解析法
- 走査型電子顕微鏡 (SEM) ・透過型電子顕微鏡 (TEM) での粒子評価
- 原子間力顕微鏡 (AFM) での粒子形状評価
- 原子間力顕微鏡のカンチレバーを使った結合力測定
- 高濃度試料 (スラリー) の粒子径評価について
- 多数粒子の粒径測定の考え方
- 動的光散乱法による粒径測定法
- レーザー回折法による粒径測定法
- レーザー散乱検出による粒子ブラウン運動直接解析法
- 着色溶液、着色粒子の測定について
- ナノメジャーによる粒径測定の利点
- 粒子物性の評価 (1) 成分分析
- 粒度分布では粒子材質の違いが分からない
- 粒度分布に潜む罠
- “粒子の違い”をどう定義するか
- 粒子物性とその分析
- 単一粒子の成分分析 (1) 電子顕微鏡下での元素分析
- ,6 単一粒子の成分分析 (2) 顕微ラマン測定
- 単一粒子の成分分析 (3) 顕微IR測定
- 単一粒子の成分分析 (4) X線を用いた分析
- 多数粒子の成分分析 (1) 燃焼による元素分析
- 多数粒子の成分分析 (2) 誘導結合プラズマ発光・質量分析法による金属元素の精密分析
- 多数粒子の成分分析 (3) ガスクロマトグラフィによる揮発成分分析
- 多数粒子の成分分析 (4) 高速液体クロマトグラフィによる有機成分の分析
- 多数粒子の成分分析 (5) ゲル濾過による粒子分離と分離後の分析
- 粒子物性の評価 (2) その他の物性評価
- 粒子の表面電荷 (ゼータ電位) による評価
- ゼータ電位とすべり面
- 粒子の分子量測定 静的光散乱法
- 磁化率による粒子評価法
- 粒子物性の評価 (3) 磁化率を用いた粒子評価法
- 磁化率とは
- 樹脂、カーボン、シリカなど反磁性物質の磁化率測定の利点
- 体積磁化率の加成性
- 磁気泳動法による粒子体積磁化率測定
- 粒子成分均一性評価
- 粒子表面修飾の分子濃度、分子数測定
- 細孔内に侵入した溶媒体積の測定
- ファンデーションのメーカー毎の比較例
- 細胞の測定例
- 今後の展開について
- 粒子の振る舞い
- 分子が粒子になると何が違うのか
- “界面”という謎の領域に踏み込む
- 粒子表面の吸着第一層は“粒子”なのか
- 粒子が相互に与える影響
- ギブスエネルギーで粒子の安定性を考える
- 界面自由エネルギー
- 粒子径と表面の影響の関係 (比表面積)
- 粒子が分散するとはどんな状況か
- 界面活性剤の役割
- 機能性多孔質粒子 (HPLC充填剤) を例として
- HPLC充填剤という製品について
- 機能として求められる事 (表面積、表面保持力、分子認識能)
- 溶質分子を保持するための考え方と表面修飾のあり方
- 溶媒と充填剤粒子表面の相性 (濡れ性)
- ロットぶれ 原因の追究
- 粒子開発における粒子分析の役割
- 粒子を知ることの難しさ 表面官能基の測定
- 分析を駆使すれば粒子開発が加速する
- 数値として品質を評価できるメリット
- 新しい粒子分析法とその活用