シルセスキオキサンは優れた熱特性、電気特性、光学特性を有することから注目されており、その構造は、かご型、ラダー型、ランダム型に大別される。この中で、かご型シルセスキオキサン (POSS) は分子レベルで構造が制御されたシルセスキオキサンであり、産業界からも注目されている低次元無機ナノ構造体である。
本セミナーではかご型シルセスキオキサンについて、その特徴、合成法、および応用例とともに工業的利用の可能性について、我々の研究例を中心に紹介し、次世代材料として何が期待できるかを考える。
- かご型シルセスキオキサン (POSS) の基礎
- シルセスキオキサンの概要
- かご型シルセスキオキサン (POSS) とは
- 不完全かご型シルセスキオキサンとは
- ダブルデッカー型シルセスキオキサンとは
- その他のかご構造を有するシロキサン誘導体
- 合成法
- 代表的なPOSSの合成法
- 不完全かご型シルセスキオキサンの合成法
- かご構造組換えによる合成法
- テトラエトキシシラン (TEOS) を原料としたオクタアニオンの合成
- POSSのこれまでの利用・応用例
- 高分子の耐熱性・機械的特性向上
- フィラーとした利用
- POSS含有モノマーを用いた共重合体
- 熱硬化性樹脂への利用
- フォトパターニング
- 医療材料
- MRI造影剤
- 単一分子かご型シルセスキオキサン材料への展開
- 構造の明確なかご型シルセスキオキサンのみからなる光学的透明膜作製の意義
- 具体例
- ダンベル型POSS誘導体
- スター型POSS誘導体
- 発光性ダンベル型POSS誘導体
- 単一分子POSS誘導体からなる透明膜の屈折率
- かご型シルセスキオキサン (POSS) 核デンドリマー
- 従来のデンドリマーと何が違うか
- POSS核デンドリマーの溶液特性
- POSS核デンドリマーで構成される固体材料
- 単一成分有機無機ハイブリッド材料であるPOSS核デンドリマー
- 固体電解質への応用
- 電荷移動錯体と組合わせた塗布型導電膜への応用
- 今後の可能性
- 主鎖型POSSポリマー
- 主鎖型POSSポリマーとは
- 合成法
- 何が期待されるか
- まとめと展望