近年のヨーロッパ車は構造体の多くの部分にプラスチック (C-FRP, G-FRP) が採用されている。目的は軽量化による燃料費の節約である。残念ながら日本においては実用面で一歩遅れをとっている感がある。
組み立てに関わる接合においては, 鋼材とプラスチックの様な異種材料の接合において, 従来の溶接の使用が不可能になり, 接着 (接着接合) にたよらなければいけない現状がある。接合には構造用接着剤が使用されるが, 組成的には熱硬化性樹脂とエラストマーのハイブリッド接着剤が多く, リサイクル性を考慮したときに, 接合部の解体は困難である。
以上のようなことから, 構造用接着剤で、かつ解体性接着技術が付与された接着剤が開発されるならば, 異種材料の構造接着において, 理想的な接着技術が自動車産業へ提案されることになる。
- 第Ⅰ部 自動車構造接着技術・接着剤の進歩
- 一般的な自動車製造工程
- 自動車ラインで使用される接着剤・シーリング材
- 代表的な接着関連材料
- 構造用接着剤の適用部位
- スポットウエルドボンド工法
- 疲労強さに及ぼす板厚さの影響
- ヘミング用接着剤
- エポキシ樹脂系構造用接着剤の性能
- ウインドウガラスの接着
- 構造接着および構造用接着剤とは
- エポキシ樹脂系構造用接着剤の種類
- 構造用接着剤の評価 (規格)
- エポキシ樹脂系構造用接着剤の組成
- 第二世代のアクリル系接着剤 (SGA)
- SGAの問題点とその解決方法
- ポリウレタン系構造用接着シーリング材
- 弾性接着の考え方を構造接着に生かす
- 鋼材と複合材料 (G-FRP, C-FRP) の接着
- 鋼材と熱可塑性樹脂の接着 (特にPP)
- 反応形アクリル系構造用接着剤によるポリオレフィンの接着
- 第Ⅱ部 解体性接着技術のトレンド
- 解体性接着&解体性接着剤
- 解体性接着剤の位置づけ
- 解体性接着剤の開発コンセプト
- 接着の環境問題と解体性接着
- 解体性接着剤が適用可能な分野
- 解体性接着技術の技術開発動向
- 解体性接着剤用樹脂の理想的な弾性率変化
- 分解性ポリマーの解体性接着への応用
- 熱膨張性マイクロカプセル混入接着剤
- 膨張剤・発泡剤の選択
- オールオ-バー工法
- 高耐熱解体性接着剤
- 高周波加熱による接着の解体
- マイクロ波加熱による接着の解体
- 超音波加熱による接着の解体
- 通電剥離接着剤
- 最近の解体性接着剤 (粘着テープを含む)