ブレーキ鳴きはブレーキ設計者や実験者にとって最大の問題であり、しかも今なお完全には解決されていない古今の難問です。
講師が鳴きのセミナーを開催して7年目になりますが、量的にも質的にも集大成の段階になりましたので、2日間で徹底的に理解を深めるセミナーにしたいと考えています。
1日目は鳴きに関する振動基礎から入り、ドラムブレーキの鳴きを解説しますが、ドラムブレーキに関するセミナーも珍しく、特に今回はフローティングシューの力学が含まれておりこれだけでも聞く価値のある内容です。また、ブレーキ摩擦材 (パッド、ライニング) の望ましい振動関連特性 (バネやヒステリシス損失) について等価減衰特性の観点から議論します。
2日目はディスクブレーキの鳴きで、350スライドを超える大作のテキストになりました。鳴きという自励振動を7種18条件に分類し、それぞれに対し対策法を説明します。後進時の鳴き、切り欠きシムの設計法、係数励振型の自励振動、チャンファリングの効果など興味ある内容が含まれています。特に摩擦バネという新しい概念が大切です。
1日目 鳴きに関する自励振動の基礎とドラムブレーキの鳴きの原因と対策
~フローティングシューの力学、望ましいブレーキ摩擦材とは?~
- 鳴きに関する自励振動の基礎
- 負性抵抗
- 摩擦振動その1
- マトリックス非対象
- 2自由度系の自励条件
- 摩擦振動その2
- 係数励振振動
- Mathieuの方程式の標準形
- 安定判別図
- 主共振で発散することの定性的説明
- 減衰が加わったらどうなるか?
- 係数励振の注意事項
- シムの減衰能の大きさ
- 固有値のCurve Veering
- Work done per cycleの考え方
- 減衰のある場合のMathieuの方程式
- ドラムブレーキの鳴き
- ドラムブレーキのA鳴き
- フローティングシューの力学計算
- 田島の式について
- pmax位置を決定する条件
- Leading Shoeの場合
- なぜアンカー部やピストン部の摩擦が効くのか?
- pmax位置を求めるための解くべき方程式
- Newton-Raphson法
- Trailing Shoeの場合
- K氏 (トヨタOB) の方法
- ドラムブレーキのB鳴き
- 低周波鳴きの理由
- 棒Mの踊りを考える
- 原因と対策1
- 原因と対策2
- ドラムブレーキC鳴き
- ドラムブレーキ鳴きの自励原因別分類
- ヒステリシス損失に関する等価減衰特性
~開発すべき摩擦材の振動特性について~
2日目 ディスクブレーキの鳴き (自励振動) 対策ノウハウを徹底解説
~なぜ鳴くのか?どのようなケースで鳴くのか?その対策に向けた設計は?~
- ディスクブレーキ鳴きの自励原因別分類
- ディスクブレーキのA鳴き
- A鳴きが係数励振型自励振動であることの証明
- A鳴き対策法
- ディスクブレーキのB鳴き
- 振動方程式
- 対策法各種
- ディスクブレーキのC鳴き
- C鳴き対策法
- ディスクブレーキのD鳴き
- Padの微小振動を考察するための基礎的方法
- Pad Springのバネ定数について
- D鳴き各論
- Dxy,Moan
- Dxy特論
- 後進時鳴き
- どんなピストン油圧で鳴くか?
- Twin Pot PistonのOpen Shim設計法
- Single PistonのOpen Shim設計法
- Dxyなど10種の自励振動説明
- D鳴き固有振動数のまとめ
- D鳴き自励条件式のまとめ
- 各種チャンファリング効果
- D鳴きのまとめ
- ディスクブレーキのE鳴き
- 高周波鳴きの考察モード
- E鳴きのまとめ
- ディスクブレーキのF鳴き
- F鳴き対策法
- ディスクブレーキのG鳴き ~Padの2節曲げ振動~
- G鳴き対策法
- 後記