第1部 GMPに対応したスケールアップ/プロセス最適化と成功率を上げるための開発工程の工夫
~具体的事例を題材とした考察~
(2014年10月27日 10:30〜13:00)
低分子医薬品開発におけるプロセス化学の役割について考察する。また、実際のスケールアップ事例としてビタミンE誘導体及びビタミンD誘導体の合成研究事例について紹介するとともに、スケールアップにおけるポイント及び危険性評価等についても言及する。
- 中外製薬の紹介
- 医薬品開発におけるプロセス化学の役割
- 開発研究事例 ( BO-153 )
- 開発研究事例 (OCT)
- 開発研究事例 (ED-71)
- スケールアップにおけるポイント
- 単位操作毎のトラブルのまとめ
- 開発初期におけるポイント
- 危険性評価について
- 過去の重大事故の紹介 及び危険性評価事例
- 危険性実験デモ (ビデオ)
第2部 スケールアップ検討における晶析トラブル解決法とラボ検討で取得しておくべきデータ
(2014年10月27日 13:50〜16:20)
スケールアップに必要なデータを求める目的で話をする。1はスケールアップトラブルの未然防止検討の正確な実験法、そろえるデータ、2は晶析であるができない晶析はないと思っている。晶析もラボ実験が重要で我々がみて濾過できない結晶を濾過してくれというのがトラブルのほとんどである。この場合トラブルとは言わない。
- スケールアップトラブル
- スケールアップトラブルという言葉はない
- ラボ実験とスケールアップ実験、違う実験をしているだけ。
- 学校でやっている実験では正確なデータがとれない。化学という文化の問題。
- それなりの実験をしなくてはいけない、しかも早く、たくさん、正確に
- 実験のスピードアップ
- 恒温滴下反応で実験を行うとラボとスケールアップで違うことができない。
- 小さな実験をする。100cc以下の実験。
- 各工程の中間体、標品をすべて準備する。考えたことがすぐ試せる。
- データは少なくても3点以上幅で用意する。温度が上がったらどうなる。
これがわからないと釜の前には立てない。データが多いと技術もレベルアップする。
- トラブルの原因
- スケールアップ時、表面積/体積 (比表面積) は1/10、冷却能力は非常に悪い。
- 結果時間が延びる。その分分解、収率ダウン。
- 原料、中間体、製品の中に不安定な化合物がある (各工程熱安定性はすべてとる) 。
- データは1工程でなく1操作でとる
- 1工程だと最低3日はかかる。反応、後処理、結晶単離しかもデータは正しくない。
- 1操作でデータをとる。小さな実験で分析だけで結論、日に2回は正確実験。データのロスはほとんどない。
- 晶析トラブル
- 滴下晶析これは光学活性タルガの企業化例を紹介する
- これは2人で半年かかったが結晶多形の出し分けに成功した例
- 粒度分布のコントロール、濾過性の改善、難濾過性の改善に非常に有効。
- 30%晶析法
- 粒度分布のコントロール、濾過性の改善、結晶多形コントロールに非常に有効。
- 30%晶析法と滴下晶析法を組み合わせるとどんな晶析も改良、望む結晶が得られる。
- 晶析トラブルはラボトラブルであり見ただけでスケールアップうまくいかないと判断できる
- 求める物性の固体が得られるはず
- GMPでは通気が少なく、すぐ爆発限界に入るので濾過乾燥機が無難だがそれに対応する結晶を出す必要がある