本セミナーでは、二酸化炭素の貯留や有効利用する技術開発が急進展しているガスや油などの採掘に利用する方法、樹脂原料とする等など、二酸化炭素の貯留・有効利用技術について解説いたします。
(2014年10月24日 10:20〜11:40)
昨今、世界的に異常気象が報告され、人為起源のCO2による気候変動との関係がクローズアップされている。特に我が国においては、東日本大震災以降の原発停止に伴い化石エネルギーへの依存度が急増、原発の運転再開が不透明な中、CO2排出削減への抜本的取組が求められる。 また、世界的に見ても発展途上国を中心に化石燃料の使用量は引き続き増加すると見込まれている。 CCS (Carbon Capture and Storage) は火力発電所、製鉄所、石油精製・化学プラント等の大規模CO2排出源において発生するCO2を分離回収し、地中に隔離する技術である。国際エネルギー機関 (IEA) 、IPCC等では地球平均気温上昇幅を2℃以下とするという現在の国際合意を達成するために不可欠な技術としてCCSを位置付けている。 本セミナーでは、CCSの仕組み、我が国と世界のCCS関連プロジェクト、主要国の政策・規制など、CCSをとりまく状況について概説する。(2014年10月24日 12:20〜13:40)
油ガス田の探鉱・開発の流れについて概説したうえで、油の回収率を高めることについて簡単に説明を行う。次に原油増進回収技術 (EOR:三次回収法) の 概念 (一次回収、二次回収法との違い及び三次回収法の原理) についての概説を行ったうえで、今なぜEORが注目を浴びているかを解説する。次に、老朽化し た油田での原油増進回収技術 (EOR) と火力発電所から大気中へ排出する温暖化ガス (CO2) の削減を同時に図るCCUS (Carbon Capture, Utilization and Storage) について概説する。最後に現在CCUSに向けての取り組みについて紹介するとともにその将来展望についても簡単に触れる。(2014年10月24日 13:50〜15:10)
CO2 (二酸化炭素) で直接岩盤を破砕してシェールガスを採掘しようとするプロジェクトに向けて我々が実施した、花崗岩供試体を用いた実験結果について主に紹介し、この分野の研究の現況について解説します。 墓石によく利用されている花崗岩を17㎝角の立方体に整形し、中心に直径2cmの円孔を穿孔しました。その円孔の中に密閉区間をつくって流体に圧力にかけ、供試体に亀裂をつくる実験を行い、亀裂が発生する際に発生するAE (Acoustic Emission、 高周波の破壊音) を測定して、亀裂の特徴を調べました。実際のシェールガスやシェールオイルの採掘では、水を加圧して地下のシェール (頁岩) を破砕してメタンガスや石油を生産していますので、これを模擬した実験です。 我々は、破砕流体に超臨界CO2、液体CO2、水、粘度の大きな油の4種類を用いましたが、水より粘度が小さいさらさらしたCO2で破砕すると、シェールガスやシェールオイルの生産に有利な、分岐の多い細かい亀裂が広範囲に広がる傾向が見られました。さらにシェールはメタンガスよりCO2に親和性が強いため、CO2で破砕するとCO2と入れ替わりにメタンガスを放出するため、メタンガスの増産も期待できます。従って、水圧破砕に現在使用されている水の代わりにCO2を用いれば、シェールガスの増産と二酸化炭素の地中貯留が同時に実現できる可能性があり、今後有望な技術であると思います。 我々の研究成果の一部を、米国の地球物理学会誌Geophysical Research Letters (Vol。 39、 L16309、 2012) に発表したところ、英国の科学雑誌New Scientists Magazine (2012年8月31日付) と米国の科学雑誌 MIT Technology Review (2013年3月22日付) がこの研究の有用性を自社のWeb Site で紹介してくれました。また国内では、京都新聞 (2013年9月14日付朝刊第26面、) 読売新聞2014年4月15日付夕刊第1面、日本経済新聞2014年4月15日付朝刊第14面 (科学技術面) 、 The Japan News (読売の英字新聞) 014年4月16日付第1面) で紹介されています。(2014年10月24日 15:20〜16:40)
産業活動により排出された二酸化炭素が地球温暖化に関連しているかもしれないことから、二酸化炭素は、その潜在的な有用性にもかかわらず、不要なもの・悪いものという印象をもたれている。本講演では、地球温暖化問題と化石資源枯渇問題の解決に直接的に寄与することが期待される、二酸化炭素の化学的利用に関する技術、実例を概観し、紹介する。