ねじ締結体にとってボルトの疲労破壊は大きな問題であり、もしこれが起これば被る損害も大きい。しかし、昔から広く「疲労破壊現象はむつかしい!」と言われている上に、ねじ締結体の力学的な特殊性が加わり、ボルトの疲労強度設計はむつかしい分野の一つになっている。
そのボルトの疲労破壊を防ぐためにはどうすればよいかを、①疲労強度の一般基礎知識、②ねじ締結体の力学的な特性、の二つの基本的な分野から、順を追ってわかり易く説明する。
- 疲労破壊全般について
- 寿命と応力振幅との関係 (S-N線図)
- 静的強度と疲れ限度との関係
- 平均応力と疲れ限度との関係
- 疲労破壊が発生する部位 (応力集中部位)
- ねじの力学 (関係分)
- 締結体の「締付け線図」の物理的な意味
- 締結体への作用外力とボルト分担との関係 (内外力比の意味と式)
- 外力作用時の被締結体の遊離
- ボルトと被締結体のばね定数
- ボルトの疲労破壊
- 締結体作用外力とボルトねじ部の応力振幅との関係
- 被締結体が遊離しない場合
- 被締結体が遊離する場合
- 被締結体遊離の影響
- ボルトねじ部が疲労破壊しない条件
- ボルトねじ部の疲れ限度
- 引張強さ・平均応力・サイズの影響
- 偏心引張荷重が作用する場合
- 部分遊離による締付け線図の変化
- ボルト分担荷重の増大
- 軸力が小さくなると分担荷重が更に増大する
- ボルト締結体の疲労試験で注意すべきこと
- 信頼性試験とは「図面保証」
- 全諸元を公差内で最も不利な諸元にして行う
- 切欠き部R最小
- 供試部品の硬さ最小
- 初期締付軸力も最小で