本セミナーは、樹脂用添加剤の使い方や選び方の基礎から解説し、添加剤の分類と種類から添加剤の分析・評価法や添加方法まで詳解いたします。
プラスチックは軽量で、丈夫で、成形しやすく、安価であるため、現代社会にとは益々不可欠な材料となっている。とくに汎用プラスチックと言われている安価なポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ポリスチレンおよびポリプロピレンは市場のニーズに適応するように改良につぐ改良が現在まで行われてきている。これら汎用プラスチックの需要は全体のプラスチックの70%以上を占めてきている。改質改良の殆どはプラスチック、ゴム、充填剤および各種の繊維などを含めた添加剤による改質改良によるものであり、プラスチックの材料開発において添加剤は極めて重要なものである。 プラスチック添加剤の目的は大きく二つに分けられる。一つは性能を維持するためであり、もう一つは新しい機能を付加することである。前者の代表的なものとしては、安定剤、酸化防止剤や紫外線防止剤などがあり、ポリ塩化ビニールやポリプロピレンは重合したままでは加工や使用に耐えないため添加剤により特性を維持している。後者はフィルムの滑り性、ブロッキング性、耐電防止剤および導電性などプラスチックに本来持っていない機能を付与するための添加剤である。 今回の講義ははじめに、①プラスチックの基本的な特性および改質改良の必要性などプラスチックの基礎的説明を行い、プラスチックの改質方法を概説する。②添加剤の分類および種類、 添加剤の法規制、添加剤のブリードアウトのメカニズムとその防止法、さらには添加剤の分析方法など添加剤の基本的なことを平易に説明する。③添加剤の分析法および評価法および④プラスチックへの添加方法についてもその事例を説明する。また、環境意識の高いEUは有害化学物質の規制が厳しくなり、プラスチックの添加剤もその対象となっている。サプライチェインとして添加剤の安全性の把握が必要になってきている。 添加剤の各論としては、プラスチックの性質を維持するための添加剤の選び方・使い方とて、酸化防止剤、安定剤、紫外線防止剤 (紫外線遮蔽時、紫外線吸収剤、光安定剤) について説明する。プラスチックに機能を付与するための添加剤の選び方・使いかたとして、耐熱性付与、耐衝撃性付与、柔軟性付与、表面特性の改良、帯電防止性付与、難燃性付与、透明性付与、接着性付与などの添加剤について説明する。最後に総括として、ポリプロピレンについて添加剤による改良の効果を述べ、現在もっとも大きな需要を獲得していることを説明する。