(2014年9月11日 14:00〜15:00)
1998年に「地上デジタル放送懇談会」で2003年までに地デジ開始が決定したが、吉崎さんには別の日本の放送デジタル化構想があった。 1998年までには、地上波、CATV、BS、CSがあり、インターネットの普及が始まっていた。2000年代半ばにはネットがブロードバンド化し、IPTVも始まった。VODの利用者も急拡大している。 日本のデジタル化には、他にどんなシナリオがあり得たのか。それは今後にも何らかの可能性を残しているのか?
2003年12月の地デジ開始までに実施されたアナログ周波数変更対策1800億円超を初め、アナログ放送終了までに投入された国費は数千億円。 他にNHKや民放、さらにデジタル放送の素材伝送の方式変更などを含めると総額で2兆円近いコストが投入された。 世界を見渡すとこのプロセスは、国によりやり方は様々だ。完全デジタル化は、BSのセーフティネットやCATVのアナアナ変換の終了をもって完全に終了となるが、振り返ってみると、どう総括されるのか?
2000年にBSデジタル、2003年には地デジが始まった。それから10年ほどの間に、地上波テレビの媒体価値は相対的に一定程度低下した。 G帯における総視聴率は、15年で15%ほど減っている。BSは過半の世帯で視聴されるようになったが、CATVやCSにおける有料多チャンネル市場は成長が止まり、逆にマイナスになり始めている。 背景には娯楽の多様化もあるが、メディア界に限っても、ネットの躍進があり、若年層を中心に放送の存在感が弱まっている。 90年ほど前、通信技術を活用しながら制度として通信と切り分けられた放送だが、IT技術の進化により再びIPの中に戻ることも可能という考え方も登場している。デジタル化を経て、現在のメディア状況をどう見たら良いのか?
2006年に総務省は「放送サービスの高度化についての検討会」報告書で、「4K/8K」のロードマップを示すと共に、「ハイブリッドテレビ」の推進も掲げた。またCATVにおいては、「ケーブル・プラットフォーム」を進めるとしている。 それぞれの方向性は、2020年の東京オリンピックをめどに、具体的に動き出している。しかし現実には、各プレイヤーの状況を踏まえると、軋轢が生まれ、課題が出てきてもいる。 「4K/8K」「ハイブリッドテレビ」「ケーブル・プラットフォーム」は、具体的にはどう進み、どんなメディア環境を創りだすのか?見え始めている課題はどう克服されるのか?
(2014年9月11日 15:10〜17:00)
メディア全体のトータルデザインなきままに、既存の全メディアをそれぞれデジタル化することありきで進んだ日本のデジタル化。 地上波テレビやBSの問題も、過去十余年の成り行き任せによる負の側面も小さくないと考えています。 地上波テレビの媒体価値の低下、BS・CSなど有料多チャンネルの成長の課題などについて、根本から忌憚ない議論を展開します。会場からの質問にもお答えいたしますので積極的なご質問をお待ちしております。