電波は目に見えないため、その強度や到来方向は専用の測定器や指向性アンテナがないとわかりません。 しかも、近年のデジタル通信ではバースト的に電波を出すものが多いため、従来のアナログ的な測定器では正確なレベル測定ができない場合があります。 そこで、実測することなしに電界強度を知る手段の1つとして電界強度シミュレータがあります。 これは、送信局から受信点までの地物などの影響を考慮しながら、電波伝搬モデルに基づき受信点での電界強度を計算によって推定するもので、従来から基地局設置時のエリア推定などに使用されてきたものです。 今回、従来シミュレータよりもはるかに高速計算のできるシミュレータソフトウェアを開発しました。 これにより、送信側の無線局諸元と受信点の位置情報があれば、ほぼリアルタイムで電界強度計算ができるようになります。 このソフトウェアと無線局情報データベースを組み合わせることで、スマートフォンで任意の無線局の電波の強度や到来方向を、AR (拡張現実) 技術と組み合わせて一目瞭然で表示できる電波の見える化システムを試験的に構築しました。 本セミナーでは、その原理となる電波伝搬の基礎から見える化システムの詳細までの技術をわかりやすく解説します。