(2014年9月27日 13:00〜14:20)
精神科医療政策は転換期を迎えている。精神保健福祉法が改正され、精神科医療に関する指針が示されている。また7月には「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」の取りまとめが公表された。今後これらの方針に準じた医療ビジョン、そして障害保健計画や介護保険計画が策定されていくものと考えらえる。精神科病院はどのような対応が求められるのか。ここ1年の政策の動向を確認しながら、これからの精神科病院について考える。
(2014年9月27日 14:30〜15:50)
精神科医療政策は大きく変わりつつあるが、その背景には医学の進展がある。統合失調症圏の疾患は、かつては発症すると進行をとめることは困難な疾患であったが、現在は、新規発症に関しては症状を改善し退院して社会復帰できるようになっている。新規発症患者の1年後の残留率は20%前後以下とされ、多くの患者は1~3か月で退院するようになっている。神経症圏の患者の在院日数はさらに短く、いずれも早期発見・早期治療の重要性が指摘されるようになっている。他方、重度認知症患者は増加しており、精神科病院の入院患者の8割以上は慢性化した統合失調症圏の患者と認知症患者の後期高齢者群となっている。
このような状況を踏まえ、急性期に分類される新規発症患者群と慢性状態になった高齢者群に提供する医療の質に大きな差異があることに着目し、541床の単科精神科病院を最終的に400床に減床しつつ、急性期対応の病院と慢性期対応の病院に分割することを決定した。経営戦略の視点から提案された計画が実施に至った経緯を報告する。
(2014年9月27日 16:00〜17:00)
精神科病院の建替え、増改築の主な動機 (目的) は、施設の老朽化対応、医療機能の再編、療養環境の改善等である。建替えを実現していくためには、今後の精神科医療の政策を踏まえ、事業性が確保された計画としていかなければならない。同時に、運営視点での合理的、効率的な計画が求められる。