2014年2月14日に経済産業省から再生可能エネルギーの固定買取制度の設備認定取得者 (400kw超) のうち土地の契約及びパネルの調達の両方について拘束力のある契約を締結していない場合には設備認定を取り消すとの公表があった。調達価格42円の枠取りをして、着工をわざと先延ばしし、建設工事代金が下がるのを待っている事業者に対する経済産業省の憤りと、一般消費者が支払う賦課金をもってそのような事業者に棚ぼた的利益を与えることは許さないという強い決意が見て取れる。いよいよ経済産業省はそのような不届きな事業者に対して、早期に工事に着工するか、当該設備認定を実際に発電所を建設できる資金を有する者に譲渡するか、廃止届を出すかの選択を迫るものである。経済産業省の設備認定の取消に背中を押されて太陽光発電所のM&Aが活発化している。 本講義では経済産業省の設備認定取消処分への対応について説明した後、再生可能エネルギーの全量買取制度の最新の話題を解説し、太陽光発電所のM&Aの注意点について言及する。また、最近のホットな話題として、大雪でパネルが沢山つぶれたが、それが不可抗力なのか設置の瑕疵なのか、損害賠償請求ができるのかという論点を検討する。さらに具体的にプロジェクトを遂行するためには、土地賃貸借契約、売電契約、建設契約 (EPC) 、運営契約 (O&M) 、パネルの調達契約と性能保証、保険契約、プロジェクトファイナンスの融資契約・担保契約などさまざまな契約書を作成・交渉しプロジェクトを組成していく必要がある。また、電力会社との工事負担金の交渉も不可欠である。また、小規模な案件では、契約書内容をセットにして、コスト削減をはかる必要がある。太陽光発電の屋根貸しモデルなど新しい形態に対応した契約の作成も必要となる。 さらに最近太陽光パネルの反射光をめぐる東京高等裁判所の判決が出た。損害賠償を認めた横浜地方裁判所とまったく正反対の結論で裁判所もまだ方向性を決めかねているように思われる。